読む映画リバイバル/森繁久彌映画をふりかえる〜ギラつきのない、灰汁を抜いた芝居へ

(2010年1月号、森繁久彌特集より)

 東宝の“顔”であった森繁久彌が、「社長学ABC」「続 社長学ABC」で「社長」シリーズにピリオドを打ち、本格的に70年代に入ると、それまでとはまた少し趣の違う“森繁ワールド”が広がってくる。端的に言えば、「夫婦善哉」や「猫と庄造と二人のをんな」で体現したダメ男を、さらにダメにしたような初老の男、そういったキャラクターを好んで演じるようになるのだ。 “読む映画リバイバル/森繁久彌映画をふりかえる〜ギラつきのない、灰汁を抜いた芝居へ” の続きを読む

松田優作〜日本映画界を駆け抜けた異端児の遺した伝説

 「俺は24時間、映画のことを考えている」と叫び、常に最高を求めた不世出の俳優、松田優作。わずか16年の俳優人生を駆け抜けた彼が遺した作品は数々の伝説と共に輝きつづける。

(2009年11月号より)

アクション・スターの頂点に上り詰める

  生涯を通じて、希有な表現者でありつづけた男の肖像。松田優作の軌跡を、ここで振り返ってみる。

 1949年、山口県下関市生まれ。彼は非摘出子という境遇をバネに子供時代を過ごした。高校を中退して、アメリカに留学するも、1年足らずで帰国。この挫折の後、’72年、文学座の俳優養成所の一員となる。 “松田優作〜日本映画界を駆け抜けた異端児の遺した伝説” の続きを読む

読む映画リバイバル〈トム・クルーズ〉『アウトロー』

アメリカの良心の継承 グレゴリー・ペックからトム・クルーズへ

(2013年2月上旬号より)

 懐かしい“匂い”

 映画が始まった途端、ちょっとタイムスリップしてしまったのかと思った。『ダーティハリー』(71)のオープニングよろしく、白昼、何者かが屋上に立ち、市井の人々を狙撃して回るシーンが目に飛び込んできて、出だしからなんとも不穏でヤバい、洗練なんて言葉には背を向けたあの“70年代アクション映画”の匂いが鼻孔をくすぐったのだ。 “読む映画リバイバル〈トム・クルーズ〉『アウトロー』” の続きを読む

読む映画リバイバル〈原田芳雄ヒストリー〉

原田芳雄ヒストリー

(2011年10月号、原田芳雄追悼特集「映画俳優・原田芳雄の軌跡」内記事より)

 初めてナマの原田芳雄を間近で見たのは、今はなき名画座、大井武蔵野館でのトークショーだった。あれは90年代の初頭か。閏年生まれのこの名優を祝う「誕生日特集」が開催されていたのだ。 “読む映画リバイバル〈原田芳雄ヒストリー〉” の続きを読む