女子ファンふつふつ増加中の日活ロマンポルノって何?お試し鑑賞なら『白い指の戯れ』がおすすめな理由

日活ロマンポルノは成人映画レーベルですが、いわゆるピンク映画とは製作体制が違います。

これがとっても大事なトコです。日活ロマンポルノファンの女子は、この違いを知っています! 

日活ロマンポルノは映画です。人気作品は動画配信サイトで鑑賞することができます。

劇場で日活ロマンポルノの特集上映企画が開催されるごとに、女性ファンが多くなっていることが客層でわかります。今もなお、ふつふつと増えています。それだけの魅力があるわけですよね。

あんま興味なかったな〜、他のエッチなのとごっちゃにしてたな〜、という方に、日活ロマンポルノは何かってことを、轟の過去原稿でざっくり解説いたします。

Photo by Molly Porter on Unsplash
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日活ロマンポルノは「プログレッシヴ・ムービー」

 この世には2種類の人間がいる。すなわち日活ロマンポルノを観たことがある者と、そうでない者と。どちらが“人生の愉しみ”を知っているのかといえば、「そりゃあ述べるまでもないでショ!」と、ここは大いにアジっておこう。

いきなりかまされましたが、そういう原稿でしたので、ママでいきます。

 にしてもなぜ今、また、日活ロマンポルノなのか。

はい、ソコをお願いします。

 とりあえずはこういうことだ。既報の通り、「日活創立100周年記念特別企画」で映画評論界の三賢人――蓮實重彦、山田宏一、山根貞男の選んだロマンポルノ32作品がリバイバルされる運びに。これを機に(何度目かの)再評価の気運が高まっているのだ。

「日活創立100周年記念特別企画」は、2012年に行われました。

『2012年9月10日に創立100周年を迎える日活が、その記念事業の一環として2011年10月のニューヨーク映画祭を皮切りに、フランス・ナント三大陸映画祭、パリ、香港と行ってきた回顧特集世界巡回上映が、いよいよ凱旋帰国!』ということで行われた日本での企画の一環として、ロマンポルノの特集上映も開催されたのでした。

 あえて、ロマンポルノとは何ぞやとの説明は省いてきたが、要は1971〜1988年の間に日活で製作・公開された成人映画である。その数は約700本。外部買い取り作品も入れると1100本を超す。量産体制の中から生まれた「玉石混淆のプログラムピクチャー」だが、作家性に富む、はたまた職人気質の名監督たちが腕をふるってきた。

『一定のルール(「10分に1回絡みのシーンを作る、上映時間は70分程度」など)さえ守れば比較的自由に映画を作ることができたため、クリエイターたちは限られた製作費の中で新しい映画作りを模索』したと言います。

 たとえば西村昭五郎、加藤彰、林功、近藤幸彦。それから曾根中生、小沼勝、田中登、神代辰巳、藤井克彦、村川透に藤田敏八、澤田幸弘、武田一成、長谷部安春。さらには森田芳光、池田敏春、金子修介、中原俊、相米慎二、根岸吉太郎、石井隆などなど挙げていったらキリがない。

すごいです、面白い劇場映画をたっくさん作ってきた錚々たる監督さんたち!

 試しに、先の三賢人全員が今回推したという村川透監督のデビュー作『白い指の戯れ』を観てほしい。子猫のようなヒロイン、伊佐山ひろ子嬢の映画デビュー作でもあるのだが、スリ集団と出会った彼女の無軌道な、しかし生/性の充足を求めての彷徨が描かれてゆく。

 ひろ子嬢の気だるい佇まいもグっとくるが、終始レイバンのサングラスをかけている“オンナ殺し”キャラ、荒木一郎のクールなセクシーさも眩暈もの! 

 脚本は神代辰巳と村川透。ロマンポルノとは煎じ詰めれば、セックスシーンも含めてあらゆる意味での“肉体のアクション”が横溢するジャンルだった。後にそれを、神代は萩原健一と、村川は松田優作と、全面展開させた事実は云うまでもない。

ちなみに、神代辰巳監督×萩原健一主演作に『青春の蹉跌』(1974年)、『恋文』(1985年)などがあります。

川村透監督×松田優作主演作には『最も危険な遊戯』(1978年)、『蘇る金狼』(1979年)、『野獣死すべし』(1980年)などがあります。

 日活ロマンポルノの主役である女優たちの多くは、さながらショーケンや優作のごとき存在感を示している。だからなのか、基本(製作者たる)男の性的欲望を具現化しつつも、意外にも女性のファンも多い。2011年に公開された園子温流のロマンポルノ(と捉えるべき)『恋の罪』が、男より女性の支持者が多かったのも何だか頷ける。その屹立するヒロイン像とファンタジー性をきっと、享受したのである。

 日活ロマンポルノの勃興と同時期に音楽界では「プログレッシヴ・ロック」が世界中を席捲したが、クラシックやジャズ、現代音楽など他ジャンルを独自に取り込んでゆく先進性が“肝”だった。それを模せば日活ロマンポルノは「プログレッシヴ・ムービー」と呼べるかも。大胆なことを云ってしまえば、ピンク・フロイドや キング・クリムゾン、イエスみたいな“先進的”な映画群なのだ。今となっては「ロマン」と「ポルノ」を強引に合わせた造語からして、ひどくプログレッシヴではないか。

以上、ケトル2012年4月号掲載記事を改訂!