厳選!《石原裕次郎映画》14作!知っておきたい「代表作」から「ツウもの」まで

館理人
館理人

俳優・石原裕次郎はテレビドラマで知ってても、映画はちょっと…の時はこちらをどうぞ。ダダダッと14作、駆け足でご紹介です。

スポンサーリンク

動画配信サービスで観られる映画

まずはU-NEXT、またはAmazonプライムビデオなどで視聴可能なタイトルです(2020年6月現在)。厳選3本!

『幕末太陽傳』

館理人
館理人

U-NEXT、Amazonプライムビデオで視聴可能です(2020年6月現在)。

【データ】

日活/1957年/110分/モノクロ
監督:川島雄三 脚本:田中啓一、川島雄三、今村昌平 撮影:高村倉太郎 出演:フランキー堺、左幸子、南田洋子、芦川いづみ、小沢昭一、小林旭

【レビュー】

何が貴重かって、鬼才・川島雄三と裕次郎が合いまみえた唯一の作品だってこと。

品川遊廓を舞台に、映画と古典落語のハイブリットな融合が存分に楽しめる傑作なのだが、主人公の居残り左平次(フランキー堺)に対して、勤王の志士・高杉晋作として登場するのが裕次郎。

庶民のバイタリティを代表する名コメディアンと、時代の寵児=スターの輝きを身にまとった男との対決(と友情)は、川島監督の意図通り、本作の“心棒”となっている。(轟夕起夫)

『嵐を呼ぶ男』

館理人
館理人

U-NEXT、Amazonプライムビデオで視聴可能です(2020年6月現在)。

【データ】

日活/1957年/100分/カラー
監督:井上梅次 脚本:井上梅次、西島大 撮影:岩佐一泉 出演:北原三枝、青山恭二、芦川いづみ、金子信雄、白木マリ

【レビュー】

女流マネージャー(北原三枝)に見いだされ、厳格な指導のもと、人気を得ていく若きドラマーの物語。実は威勢のいい題名とは裏腹に、物語は意外とウェット。

が、それを吹き飛ばす有名なドラマ合戦のシーンで、本作は永遠の命を持つ。

裕次郎はいきなりマイクを持って歌い出すわけだが、間奏のドラムロールに乗せて、「ボディだ、顎(チン)だ」「あらあら伸びちゃった?」とフリースタイルで挑む。“ラッパー映画”誕生の瞬間でもある。(轟夕起夫)

『太平洋ひとりぼっち』

館理人
館理人

Amazonプライムビデオで視聴可能です(2020年6月現在)。

【データ】
製作:石原プロ/配給:日活/1963年/96分/カラー
監督:市川崑 原作:堀江謙一 脚本:和田夏十 撮影:山崎善弘 出演:浅丘ルリ子、ハナ肇、芦屋雁之助、田中絹代、森雅之

【レビュー】

石原プロ設立第1作目に選んだのが、この題材。裕次郎の人生観、チャレンジ精神の強さが窺える。

1962年の夏、たったひとりで94日間の太平洋ヨット横断旅行を成し遂げた青年・堀江謙一。その体験記を名匠・市川崑監督が映画化。

館理人
館理人

原作はこちら!

ヨットは裕次郎自身が操縦、狭い船内でのひとり芝居が大きな見せ場となり、若者の特権を行使した主人公をリアルに演じきった。裕次郎映画のテーマでもあった“脱出願望”を具現化した記念碑的作品!(轟夕起夫)

スポンサーリンク

DVDレンタルか…出会ったら即観必至のお宝タイトル

動画配信サービスではあまり見当たらないかも、なタイトルです。DVDレンタルで探すか、衛星放送などの特集放送で見つけたら必観! 厳選11本!

『赤い波止場』

【データ】

日活/1958年/99分/モノクロ
監督:片田利雄 脚本:池田一朗、舛田利雄 撮影:姫田真佐久 出演:北原三枝、中原早苗、大坂志郎、岡田真澄、轟夕起子

【レビュー】

冒頭から、とにかくカッコよすぎるのである。

真っ白のスーツを着こなし、神戸の街を歩く殺し屋・富永二郎。いや、左利きの凄腕・レフトの二郎。

ハイ・キーなモノクロ画面でも、裕次郎という肉体の“光沢”はクッキリと見えるわけである。そして、黒サングラスが象徴するアウトローの匂い。

土方弘扮する東京から送られてきた殺し屋との闘いもオツなもの。本編と同じく舛田利雄監督、渡哲也主演によるリメイク版『紅の流れ星』も名篇なり。(轟夕起夫)

館理人
館理人

こちら渡哲也主演のリメイク版!

『憎いあンちくしょう』

【データ】

日活/1962年/104分/カラー
監督:藏原惟繕 脚本:山田信夫 撮影:間宮義雄、岩佐一泉 出演:浅丘ルリ子、芦川いづみ、長門裕之、小池朝雄、川地民夫

【レビュー】

東京から九州へ、日本縦断1600キロの旅。その旅の果てに男と女が掴んだものは、永遠の太陽の祝福と、生の絶頂感だった!

男と女とは、人気タレントとそのマネージャー兼恋人。すなわち、約束の地まで中古ジープを運ぶ裕次郎と、彼のあとをジャガーで追いかけるルリ子。愛の不毛と可能性。人と車が一体化を遂げたロードムービー。いや、これはヌーヴェル・ヴァーグを経過した蔵原監督による、あの『気狂いピエロ』への返答でもある。(轟夕起夫)

館理人
館理人

『気狂いピエロ』はジャン=リュック・ゴダール監督作、ヌーヴェル・ヴァーグと言われるフランス映画群の代表的な一本です。

『夜霧のブルース』

【データ】

日活/1963年/103分/カラー
監督:野村孝 原作:菊田一夫 脚本:国弘威雄 撮影:高村倉太郎 出演:浅丘ルリ子、岩崎加根子、沢本忠雄、郷談治

【レビュー】

のっけからクライマックス。裕次郎扮する元ヤクザが単身、事務所へと乗り込む。そうして組長(山茶花究)の前で始まるのは、彼の怨み節。身重の妻(浅丘ルリ子)を失った男の回想物語である。

その怒りの“過程”をいちいちカットバックで描きあげてゆく構成は大胆すぎるのだが、情趣と共に絶妙なバランスでシーンがつながっていくのは、野村孝監督の手腕か。帰らざる青春の日々……情念に満ちたアウトサイダーの世界を噛みしめたい。(轟夕起夫)

『あした晴れるか』

【データ】

日活/1960年/90分/カラー
監督:中平康 原作:菊村到 脚本:池田一朗、中平康 撮影:岩佐一泉 出演:芦川いづみ、渡辺美佐子、中原早苗、東野英治郎

【レビュー】

中平康監督の才気光る、和製スクリューボール・コメディの快作。フィルム会社の宣伝部からの依頼で、“東京探検”というテーマで都内各地を撮影していく青年カメラマンに裕次郎。

彼のお供は宣伝部のキャリアウーマン、めちゃくちゃ頭が切れるメガネ女子(芦川いづみの可憐さと言ったら!)。二人のコンビネーションの素晴らしさ。変わりゆく東京の街並み(赤線跡地!)と共に、戦後の男女が手にした“自由な空気”が掬い取られている。(轟夕起夫)

『俺は待ってるぜ』

【データ】
日活/1957年/90分/モノクロ
監督:藏原惟繕 脚本:石原慎太郎、高村倉太郎 出演:北原三枝、二谷英明、小杉勇、植村謙二郎

【レビュー】

裕次郎の同名ヒット曲をもとにしたものだが、自らの“内なる脱出願望”を主人公に投影した蔵原惟繕監督の名篇。

暗い過去を持つ男。波止場のレストラン。ブラジルに渡ったはずの兄の死――ここまでは演歌。3日間徹夜して撮影したというラストの(延々と続く壮絶な!)殴り合いはジャズだ!

仇役・二谷英明への裕次郎のアクションは、どこまでも埋め難い、果てしのない憎悪の表現だった。蔵原監督好みの“乾いたアンニュイ”が充満!(轟夕起夫)

『勝利者』

【データ】

日活/1957年/98分/カラー
監督:井上梅次 原作:キノ・トール、小野田勇 脚本:井上梅次、田利雄 撮影:岩佐一泉 出演:北原三枝、三橋達也、南田洋子

【レビュー】

シンプルな物語だ。元ボクサー(三橋達也一当初『嵐を呼ぶ男』に主演するはずだった!)が、チャンピオンの夢を街のチンピラに託す。

その若造が、『太陽の季節』でも高校の拳闘部の選手役だった裕次郎。

館理人
館理人

『太陽の季節』は長門裕之、南田洋子主演作です。

ここでも不良性感度の高いキャラで、職業俳優にはない、抜き身のような魅力を湛えている。

日活映画とボクシングの関係は大変深いものがあるのだが、本作は“個の喪失と回復”という主題を打ちだし、以後の日活アクションの雛形となった。(轟夕起夫)

『陽のあたる坂道』

【データ】

日活/1958/190分/モノクロ
監督:田坂具隆 原作:石坂洋次郎 脚本:田坂具隆、池田一朗 撮影:伊佐山三郎 出演:北原三枝、芦川いづみ、小高雄二、川地民夫、轟夕起子

【レビュー】

原作は石坂洋次郎だがエリア・カザン監督の『エデンの東』 からもヒントを得たというのだから、やっぱり裕次郎は“日本のジェームズ・ディーン”だったのだ。

館理人
館理人

石原洋次郎著の原作はこちら!

裕福な家庭で育つも、デキのいい兄にコンプレックスを抱き、妾の子という運命に苦しむ青年役。

韓流ドラマもかくやのドロドロとした人間関係だが、異母妹(芦川いづみ)とその家庭教師の女子大生(北原三枝)、女優陣が眩しく、裕次郎の体現する“傷だらけの純情”も胸を打つ。(轟夕起夫)

『太陽への脱出』

【データ】

日活/1963年/110分/カラー
監督:舛田利雄 脚本:山田信夫、山崎巌 撮影:山崎善弘 出演:二谷英明、岩崎加根子、香月美奈子、南田洋子

【レビュー】

この映画で裕次郎がピアノを弾きながら歌う曲のタイトルは「骨」。中原中也の有名な詩の一節に、伊部晴美がメロディをつけたものだ。

「ホラホラ、これが僕の骨だ、生きてみた時の苦労にみちた」何という哀切な世界観だろう。それは映画全体を覆って、観る者の心に深く刻まれる。

ここでの裕次郎の役柄は、バンコクに棲息し、東南アジアへ兵器を密売している“死の商人”。映画のテーマのために殉じた、一世一代のラストに涙する。(轟夕起夫)

『昭和のいのち』

【データ】

日活/1968年/165分/カラー
監督:舛田利雄 脚本:池上金男、舛田利雄 撮影:横山美 出演:浅丘ルリ子、浜美枝、高橋英樹、浜田光夫、中村賀津雄

【レビュー】

裕次郎×ルリ子、しかも舛田利雄監督で日活任俠アクションといえば、『花と龍』のほうが傑作であろう。

が、本作は、裕次郎とルリ子の映画を観続けてきた者にとってはおそらく“神話的な1本”として存在し続けるに違いない。

昭和初期、右翼テロ組織の男は首相暗殺に失敗し、女は婦に身を落とした……そんな二人の再会と救出劇。大河なドラマが展開してゆく中、このエピソードは、裕次郎とルリ子の映画史の実質的終着点である。(轟夕起夫)

『人斬り』

【データ】

製作:フジテレビ、勝プロ/配給:大映/1969年/131分/カラー
監督:五社英雄 脚本:橋本忍 撮影:森田富士郎 出演:勝新太郎、仲代達矢、三島由紀夫、倍賞美津子

【レビュー】

動乱の幕末時代と、映画が作られた60年代末の不穏でアナーキーな空気が重なる! 

監督の五社英雄は当時のフジテレビのエース、刺客・岡田以蔵に勝新太郎、以蔵を裏で操る武市半平太に仲代達矢、裕次郎は坂本竜馬役で、みんな無手勝流(のよう)。

切腹シーンのある薩摩藩士・田中新兵衛を演じたのは作家の三島由紀夫。彼の割腹自殺を語る上でも重要な1本。裕次郎は初共演となった勝新太郎と友になり、後にTV版『座頭市』で名品を残した。(轟夕起夫)

『黄金の野郎ども』

【データ】

日活/1967年/88分/カラー
監督:江崎実生 脚本:山崎嚴、江崎実生 撮影:安藤庄平 出演:宍戸錠、二谷英明、名和宏、真理明美、広瀬みさ

【レビュー】

1967年、裕次郎は芸能人高額所得者番付で美空ひばりを抜き、トップになった。そんな年に裕次郎は、初めて頬に傷跡をつけ、これまで成し得なかったダーティヒーローを造形してみせた(1973年、澤田幸弘監督の『反逆の報酬』でも頬に傷をつけている)。

ヤクザ組織の幹部役で、女に手を出し、ライターで裏切り者の顔を焼く。かような暴力性の発露は後の日活ニューアクションに継承されるが、その先鞭をつけた作品として、記憶しておきたい。(轟夕起夫)