『タンポポ』と『マルタイの女』のレビューです!
おすすめ傑作2本
『マルタイの女』三谷幸喜が脚本協力
【レビュー】
1992年5月、伊丹十三は『ミンボーの女』公開直後に暴漢に襲われ、全治2カ月の重症を負ったが、その後数カ月、警察の身辺保護の対象者=マルタイとなった経験を全面に生かした作品。
殺人事件を目撃した女優(宮本信子)と、重要参考人である彼女を守る2人の刑事(西村雅彦、村田雄浩)をメインに据え、カルト教団の脅威とテロリズムの恐怖を描き、“言論の自由”の危機に警鐘を鳴らした。
伊丹監督と細越省吾プロデューサーと話し合い、脚本の第一稿を書いた三谷幸喜が「企画協力」としてクレジットされている。
ちなみに宮本信子も伊丹同様、ボディガードを経験、リアル”マルタイの女”であった。10本目にして初の刑事モノ。 次回作は犯罪映画を構想し、警察関係者への取材も進めていたというが、これが最後の監督作になった。(轟)
【データ】
1997年/出演:宮本信子、西村雅彦、村田雄浩、名古屋章、江守徹、津川雅彦ほか
『タンポポ』ハリウッドが注目
【レビュー】
かの西部劇『シェーン』をルイス・ブニュエルの『自由の幻想』の手法で撮ったような作品、と言ったらよいか。
さびれたラーメン屋を立て直すべく、タンクローリーの運転手(山﨑努)が女主人(宮本信子)を特訓する「ラーメン・ウエスタン」であり、食と性にまつわる様々な蘊蓄とエピソードを並べた、ある意味“ポルノ的”なエッセイ映画でもある。
白服の男・役所広司と情婦役・黒田福美の、卵の黄身の“口移しキャッチボール”は一度はマネしてみたい。われらが技斗番長・高瀬将嗣さんも初参加!(山﨑努 vs. 安岡力也のファイトシーン)。
欧米でも公開され、興行的成功を収め、実現こそしなかったがハリウッドからも監督のオファーがかかった。なお、伊丹作品おなじみとなるメイキングの制作は、この映画から始まった。(轟)
【データ】
1985年/出演:山崎努、宮本信子、役所広司、渡辺謙、安岡力也ほか
映画秘宝2012年1月号掲載記事を改訂!
伊丹十三映画については、こちらの記事でもっと深掘りしています!
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