手っ取り早くヌーヴェル・ヴァーグのツウになる『ふたりのヌーヴェルヴァーグ〜』レビュー

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小難しそうな言葉の響き。あれこれ作品観なきゃ語れなさそうな、映画通っぽいキーワード「ヌーヴェエ・ヴァーグ」。

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手っ取り早く知るなら、1本のドキュメンタリーを観るのが早い!

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例えばU-NEXTなら定額見放題に入っているタイトルですし、Amazonプライムビデオなどでも取り扱いがあります(2020年1月現在)。

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どんなドキュメンタリーかは、ご紹介する轟のレビューをどうぞ!

Photo by Pascal Debrunner on Unsplash
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ヌーヴェル・ヴァーグという映画史が解る『ふたりのヌーヴェルヴァーグ ゴダールとトリュフォー』

 共に1959年に長編デビュー作を放ち、ラストシーンで、主要登場人物に“カメラ目線”をさせたふたりの映画監督がいる。

『大人は判ってくれない』のフランソワ・トリュフォーと、『勝手にしやがれ』のジャン=リュック・ゴダールだ。

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『大人は判ってくれない』はカンヌ国際映画祭で監督賞をとりました。

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『勝手にしやがれ』はベルリン国際映画祭で銀熊賞!

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ちなみに当時、日本でもそのカッコよさが受け、映画が流行りました。のちにはスターシンガー・沢田研二が映画の邦題にちなんだ(同じですが)曲名の『勝手にしやがれ』を出して大ヒットです!

 観客に向けられた、挑発的だが只ならぬ思いを訴えかけてくる視線──この“眼差し”が、同時代的になぜ生まれたのかを知りたい方、はたまた、今までトリュフォーやゴダールの作品には何ら関心のなかった方々──すなわち、一大クロニクル『ふたりのヌーヴェルヴァーグ  ゴダールとトリュフォー』とは、そんな人たちこそが観るべき、よく出来た“映画史”入門篇のドキュメンタリーなのであった。

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監督はマニュエル・ローラン、2010年の映画です。

 フランスだけでなく、戦後の世界の映画の潮流を一変させてしまったトリュフォーとゴダール。

 そもそもは、シネフィル(映画狂)のための月刊誌カイエ・デュ・シネマの批評家として頭角をあらわし、やがて撮影所での助監督の経験なしにディレクターの座に。

 他のカイエ誌の同人たち、クロード・シャブロルを筆頭にジャック・リヴェット、エリック・ロメールらもこの道程を踏み、若き彼らはヌーヴェル・ヴァーグ(新しい波)の旗手と呼ばれたのだが、本作はタイトルどおりにゴダールとトリュフォーの関係をメインに、ヌーヴェル・ヴァーグの豊かな歴史を紐解いていく。

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クロード・シャブロル監督作は『気のいい女たち』(1960年)など。

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ジャック・リヴェットは『パリはわれらのもの』(1960年)など。

『美しき諍い女』(1991年)もおすすめ! エマニュエル・べアール主演です。

 おのずとそこから浮かび上がってくるのは、“第3の男”の存在である。

 『大人は判ってくれない』で子役としてトリュフォーに見いだされたジャン=ピエール・レオー。トリュフォーの分身キャラ(アントワーヌ・ドワネル)を演じ、年令的成長に応じて“ドワネルもの”はシリーズを重ねていった。

 また、ゴダールの映画にも俳優、スタッフとして参加、数々の傑作を残し、レオーは両者をつなぐキーマンであった。その三位一体の映画的な連帯感が、無惨にも瓦解していくあたりも本作はしかと記録しており、友情の終わりの哀しさを、時を超えてここに生々しく喚起させる。

 ターニングポイントは1968年だった。自分たちを育んだシネマテークの名物館長の不当解雇に反対、ゴダールとトリュフォーを中心とした共同戦線の延長線上に“五月革命”が登場し、映画人は学生や労働者と共にデモに加わって蜂起していった。

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フランスでの5月革命の頃、アメリカではベトナム戦争を受けての反戦運動、日本では学生運動が盛んとなっていました。

 そしてカンヌ国際映画祭の粉砕へ。

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ゴダールとトリュフォーを中心とした改革を求める映画人が、開催中のカンヌ映画祭に乗り込み、映画祭は中止に追い込まれました。

 しかし、この流れの果てに、ゴダールとトリュフォーは永遠に決別することになるのであった。

 そうした歴史を本作は、レアなアーカイブ映像をふんだんに盛り込んで見せてゆくのが素晴らしい(『大人は判ってくれない』のオーディションに挑み、カメラ・テストを受けた14歳になったばかりのレオー少年の姿!)。

 字幕の監修を担当しているのはあの山田宏一氏だ。1964年の末から67年半ばまでパリに在住、カイエ誌の同人でトリュフォーやレオーらとも交流した貴重な証人。

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映画評論家・山田宏一の著書は多いです。

 老婆心ながら、氏の回想録『友よ映画よ、わがヌーヴェル・ヴァーグ誌』『ゴダール、わがアンナ・カリーナ時代』は、本作の面白さを“倍化”してくれる必読の名著である、と言っておこう。

轟

ケトル2011年6月号掲載記事を改訂です!

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ゴダールについては、こちらでも詳しく解説しています!