俳優語り【丹波哲郎】映画・ドラマのキーマンを背負う、銭のとれる確立された芸と洒落っ気

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館理人
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丹波哲郎は1922年生まれ、2006年に亡くなりました。出演作がものすっごく多い大俳優! 声の調子が堂々としていて個性的。劇中では上の立場の役柄にハマる役者でした。

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霊界についての著書も多数! 自らを霊界の宣伝マンと語り、著書「大霊界」などベストセラーとなりました。

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その存在感はとてもユニーク。丹波哲郎を知ると、出演作の面白さもアップするから不思議。主演を数多くこなした1970年代の映画やテレビドラマを中心に、俳優・丹波哲郎を紹介です!

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 1970年代の丹波哲郎は、充実しきっている。

 無論それまでもキーマンとして、数々の作品を彩ってきたが、如実に主演作、ドラマの中心を担う映画が多いのだ。

 たとえば、深作欣二監督の『軍旗はためく下に』(1972年)。

 ニューギニアの戦地で敵前逃亡により処刑された軍曹役。果たしてその真相は?  丹波、渾身の名演!(本人はそうは思っていないようだが)。これは深作版『ゆきゆきて、神軍』である。

館理人
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『ゆきゆきて、神軍』は今村昌平企画、原一男監督。あるアナーキストがニューギニア戦線でおきた疑惑を追う様を記録した異色ドキュメンタリー。

 1973年は破竹の勢いだ。

 まず無頼者“明日死能”を怪演した石井輝男監督の『ポルノ時代劇 忘八武士道』。

 射合いあり二刀流あり、素晴らしい殺陣も見せ、一転、『人間革命』では創価学会二代目会長・戸田城聖に扮し、毎日映画コンクール賞男優演技賞受賞に。

 さらに、『日本沈没』の総理大臣役でも長台詞の独壇場が!

 またこの年は、プロデューサー(兼演出)五社英雄、1969年に自ら企画したTVシリーズ『ジキルとハイド』(全13回)がようやく深夜枠で初放映された。

 翌1974年もスゴい。『ノストラダムスの大予言』で世界の終末を憂える環境研究所の所長、『砂の器』では燻し銀の刑事と、職種は全く違っても、どちらもスクリーンに“丹波節”が冴え渡るシチュエーションが用意されていた。

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ちなみに!『砂の器』で丹波哲郎扮する刑事の捜査に同行する若手刑事に扮したのは、現・千葉県知事の森田健作。

 それは銭のとれる、確立されたひとつの芸であった。

 以前から大作、話題作には必須の人であったが、1975年の『新幹線大爆破』『東京湾炎上』でパニック物に箔を付け、1976年、『続 人間革命』を経て、『ひとごろし』では上意討ちの命の下った腰抜け侍(松田優作)に先々で「人殺し!」の罵声を浴びせられ、次第に追い詰められていく剣豪役。これもグッジョブ。

 1970年代中盤以降、映画でメインを張ることは珍しくなってきたが、『キイハンター』『アイフル大作戦』『バーディ大作戦』に続いて始まったTVシリーズ 『Gメン ’75』(1975〜82年)のボス、黒木哲也警視役で人気を博す。

 で、何と映画『こちら葛飾区亀有公園前派出所』(1977年)では、Gメンのメンバーと共に黒木警視として登場し、見事に出オチを(監督はシリーズの演出もしていた山口和彦)。

 本当にシャレのわかる人であった。

 1978年、『柳生一族の陰謀』『宇宙からのメッセージ』『事件』『雲霧仁左衛門』『皇帝のいない八月』『野生の証明』『赤穂城断絶』と、「丹波哲郎という打ち上げ花火」(by杉作J太郎)は絶頂を極めた。

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『柳生一族の陰謀』は深作欣二監督作の本格時代劇映画。出演は人気俳優がずらり。萬屋錦之介、 千葉真一、松方弘樹、西郷輝彦、三船敏郎、大原麗子、志穂美悦子、真田広之…!

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『宇宙からのメッセージ』も深作欣二監督作。SF冒険ファンタジーのこちらも大作! 出演はアクションがキレキレの千葉真一、志保美悦子、成田三樹夫など。

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『事件』は野村芳太郎監督作、殺人事件をめぐるサスペンス。出演は松坂慶子、永島敏行、三國連太郎、ほか。

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『雲霧仁左衛門』は五社英雄監督作。出演は仲代達矢、市川染五郎、岩下志麻、ほか。江戸の窃盗団・雲霧仁左衛門を描きます。

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自衛隊クーデターを描く『皇帝のいない八月』は山本薩夫監督作。出演は渡瀬恒彦、吉永小百合、ほか。

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『野生の証明』は佐藤純彌監督作、出演は自衛隊員に高倉健、事件の生き残りの少女に薬師丸ひろ子が演じます。

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『赤穂城断絶』は深作欣二監督作の赤穂もの。出演は萬屋錦之介、千葉真一、松方弘樹、ほか。

 そうして1980年、企画製作、脚本、原田雄一と共同監督で霊界(+真言密教立川流)映画『砂の小舟』(ビデオタイトル『丹波哲郎の地上(ここ)より大霊界』)を発表。

 いよいよ「霊界の宣伝マン」の時代が、本格的にスタートしたのだった。

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丹波哲郎著「丹波哲郎の大霊界」を原作とした映画『丹波哲郎の大霊界 死んだらどうなる』は、シリーズ3作目まで作られました。

轟

映画秘宝2006年12月号掲載記事を改訂!