角川映画の繁盛期と、常連俳優・夏八木勲

館理人
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「角川映画」とは、(株)KADOKAWAの全身(株)角川書店の社長角川春樹が、自社で扱う小説が原作の映画製作に乗り出したことでスタートした、一連の角川製作映画のこと。

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角川映画を、常連のバイプレーヤー・夏八木勲とともにざざざっと振り返るレビューです!

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『人間の証明』を皮切りに、角川映画の常連俳優となった夏八木勲。出演作をたどると角川映画の繁盛記も見えてくる!

PHOTO:KADOKAWA公式HPより https://www.kadokawa-pictures.jp/official/fukatsunohi/

 角川春樹が日本映画の風雲児として頭角をあらわし、主に東映と組んで大作を次々に発表、世を席巻していったのはよく知られるところ。夏八木勲は『人間の証明』(1977年)を皮切りに、その角川映画の常連俳優となった。

館理人
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『人間の証明』は佐藤純彌監督、松田優作、岡田茉莉子、鶴田浩二、ジョージ・ケネディ、三船敏郎出演。刑事が外国人殺人事件を追います。

 何といっても男を上げたのは(夏木勲と改名し)、アメリカロケも敢行した『野生の証明』(1978年)での熱血刑事役だ。

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『野生の証明』も佐藤純彌監督作です。

 大量虐殺事件の真相を知り、容疑者だった元特殊部隊所属の味沢(高倉健)とその養女(薬師丸ひろ子)を守るため、カーゴトラックで戦車に突っ込む!

 武将・長尾景虎役の『戦国自衛隊』(1979年)では、天守閣で主君を殺し、スタントなしで空中で待機するヘリコプターの縄ばしごに乗り移った。誠に天晴れであった。

 等々力警部役の『悪魔が来たりて笛を吹く』(1979年)を挟んで、『白昼の死角』では堂々主演。映画宣伝のキャッチコピーは「狼は生きろ、豚は死ね」だったが、『金田一耕助の冒険』(1979年)では「狼は生きろ、ブスは死ね」と口にする役で起用され、さっそくセルフパロディに。

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『金田一耕助の冒険』は、大林宣彦監督のコメディ映画。古谷一行主演。当時、地方映画館では新作映画も2本立てで公開するのが一般的で、こちらは『蘇える金狼』(松田優作主演)の併映作でした。

『復活の日』(1980年)では新型の殺人ウイルスの猛威が世界に広がるなか、生き残った南極日本隊の隊長役。オリビア・ハッセーとも共演し、劇中、堪能な英語を駆使した。

「監督の深作(欣二)さんやカメラマンの大ちゃん……木村大作さんみたいな人が引っ張っていってくれたからね。物事を並のスケールで考えてちゃいかんのだと、つまんない常識なんか、角川さんも深作さんも大作さんもバーンと乗り越えちゃう人たちで、凄いなあと思いました」とは雑誌取材時の夏八木さんの弁。

 長谷部安春監督の『化石の荒野』(1982年)ではコンバット部隊を率いる元警視庁エリート役。殺人犯の汚名を着せられ、逃亡する主人公(渡瀬恒彦)と対決するクライマックス、ロケ地は大雪山で、風速5メートル以上だとヘリコプターは飛ばせない規定があり、雪原に戦車を走らせ、その上にヘリという構図を撮るため、12月いっぱい登山と下山を繰り返した。

 結局条件は合わず、翌年1月に持ち越され、ますます風雪は激しくなり、撮影のタイミングを待ったという。

館理人
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『化石の荒野』の原作はこちら!西村寿行作のハードロマン小説です。

 当時の角川映画を振り返って「やっぱり春樹さんみたいな剛腕の人がいたからねえ……」。

 夏八木勲は角川春樹の監督作『キャバレー』(1986年)にゲスト出演、『天と地と』(1990年)では武田信玄の軍師・山本勘助を演じ、盟友としてトコトンつきあった。

 そして時は流れた。今はもう、『戦国自衛隊』のエンディングテーマ、故ジョー山中の「ララバイ・オブ・ユー」を聴きながら、あのベル・エポックに思いを馳せるしかない。

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『戦国自衛隊』は自衛隊の小隊が戦国時代にタイムトリップ!

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ジョー山中のヒット曲『戦国自衛隊』のエンディングテーマ「ララバイ・オブ・ユー」は作詞:阿木燿子、作曲:宇崎竜童。

ちなみにジョー中山、この映画の前に先の『人間の証明』のテーマ曲を歌い、これが大ヒットとなりました。

轟

映画秘宝2013年8月発売号掲載記事を改訂!