『メッセージ』(2016年)はドゥニ・ヴィルヌーヴ監督作、エイミー・アダムス主演のSF映画です。
レビューをどうぞ!
未知の生命体との“ファースト・コンタクト”を描く
原題は「来訪・到着」を意味する『Arrival』。原作は2000年、SFを対象にした権威ある「ネビュラ賞中長編小説部門」を受賞した『あなたの人生の物語』。
原作者は中国系アメリカ人のテッド・チャンである。謎に満ちた本作を解くヒントは劇中、いくつか出されており、“円環構造”を持った音楽にも隠されている。
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『ブレードランナー 2049』。説明するまでもなく時を超え、語り継がれてきたSF映画史上の傑作の続編だが、その監督に抜擢されたのはドゥニ・ヴィルヌーヴというフランス系カナダ人だ。
『ブレードランナー』(1982年)はリドリー・スコット監督作。人間と見分けのつかない人造人間・レプリカントを見つけ出す捜査官を演じたのはハリソン・フォード!
続編『ブレードランナー 2049』(2017年)は前作に続き、ハリソン・フォードが同じ役で出演しています。リドリー・ストットは製作総指揮。主演はライアン・ゴズリング。
すでに彼の辣腕——吸引力抜群のビジュアルセンス、そして既成概念を覆し、繰り返し観たくさせてしまう中毒性の高い作風は、あまねく認知されている。
この、未知の生命体との“ファースト・コンタクト”を描いた『メッセージ』もそうで、エンディングと同時に「な、何ィ!?」と「そうだったのか!」が襲ってくること受け合い。絶対に最初から観返したくなる。
と、ハードルを思いっきり上げてしまっているが、ある日、世界の主要国12ヶ所に、全長450mもの(貝のフォルムのごとき)宇宙船が降り立つのだ。大胆な設定。
アメリカにはモンタナ州の平原地に出現し、軍の精鋭チームに招集された言語学者の女性(エイミー・アダムス)が船内の知的生命体との対話方法を探ることに。
描きようによっては“コント”になりかねないシチュエーションにヴィルヌーヴ監督は、巧みに真実味を与えてみせる。しかも、外連味の利いたビジュアルで。
巨大な宇宙船は地上10mほどの高さに浮かんでおり、最底部が一定の時間ごとに開く。
そこに調査団が昇降機で接近すると、重力が不思議なねじれを起こし、透明な壁で遮られたエイリアンの元へと運ばれ……この描写ひとつとっても観る者をワクワクさせ、ヘプタポッド(ギリシャ語で7本脚の意)と名付けられた2体のエイリアンとの対話はさらにドキドキとさせる。
唸り声を発し、触手から液体を壁に吹きかけ、謎の表意文字を投げかけるのだ。
さあどうやって、広げた“大風呂敷”を畳むのか。
これは大変な技量が必要とされるわけだが、もう一度言っておく。必ずや最初から観返したくなると。以上!
週刊SPA!2017年10月31日号掲載記事を改訂!