日活ロマンポルノ映画レビュー『暴る!』ハードボイルド派・長谷部安春監督作

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Photo by Shaah Shahidh on Unsplash
館理人
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今ならもっとマイルドだろうそのタイトル群は、製作時の潮流丸出しで煽りまくり! そんなところも丸ごと鑑賞するのがロマンポルノの楽しみ方!! ということで復刻レビューにて近年、田舎ホラーとしても有名なバイオレンスポルノ『暴る!』のご紹介を! コンプライアンス意識皆無時代のコラムゆえ、所々のバカすぎる文面には要注意でお願いします。

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日活ニューアクションのハードボイルド派、長谷部安春監督作

1978年 監督:長谷部安春 出演:八城夏子 69分

 走る車。女がひとり。BGMは「マイルストーン」似のクール・ジャズ。

 サングラスをかけた女の横顔が画面右に配置される。その左側にはタテ組みの、3つの白文字が静かにこう浮かびあがる──。

 暴る!

 するとひと呼吸おいて、血の色をしたルビがワンポイント、的確にレイアウトされるのだ。すなわち、こんな風に。

 る!

 というわけで、結論。タイトルデザインは映画の“前戯”である。

 やった・・・のは長谷部安春監督だ。

 日活ニューアクションのハードボイルド派。ロマンポルノを手がけても、たとえば『暴行切り裂きジャック』(1976年)では、自分のクレジットを切り裂いて、真っ二つにしちゃうという遊び心を忘れない。あれも長谷部監督ならではのスタイリッシュな前戯であった。

館理人
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長谷部監督の映画では『野良猫ロック』シリーズ、『女囚さそり 701号恨み節』『あぶない刑事』などがあります。

 では肝腎の、本番のほうはどうなっているのか。やはりタイトルに注目しよう。『暴られる!』ではなく『暴る!』。つまり「暴る側」を描いた、まるで男優辞典みたいな映画なのだ(脚本は桂千穂との共同)。

 まず冒頭。山道にてトラックがパンクしている。車を止める女。運転手はジャッキを貸りたお礼に、彼女を襲って犯す。

館理人
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か、借りたお礼、って!

 この運転手を演じているのが椎谷建治である。『蘇える金狼』(1979年)や『戦争の犬たち』(1980年)、『極道の妻たち・最後の戦い』(1990年)にも出演した、高倉健をうーんとニヤけさせた感じのイイ男だ。

 場面変わって。女は警察に申し出るのだが、そこで「パンツは脱いだの、脱がされたの?」「男は勃起していたんだね、どうなの?」とネチネチ訊問する刑事が石山雄大。

 この人もイブシ銀のバイプレイヤーなのだが、何といっても長谷部監督の傑作、アウトローな男に扮して主演を務めた『レイプ25時 暴姦』(1977年)が最高。とはいえ最後には死体となり、トンカチで前歯を砕かれ、野郎どもにナニを突っ込まれてフェラさせられる、という、書いているだけで「痛え〜」役だったが……。

 話を『暴る!』に戻そう。エンストし、途方に暮れている女の前に現れるのがガソリンスタンドの店員。演じるは、出ました若き日の本田博太郎! 博太郎は法外な修理代をふっかけて「払わなくてもいいから、なっ、な」と女を押し倒す。

館理人
館理人

全くもう、どういう展開でしょう…。ところで出演作多彩多数の本田博太郎さん、近いところでは、押井守監督の青春アクション『東京無国籍少女』に出ています。

 さらに病院の医師やら、取り調べ中の刑事たちに女は暴られるのだが、その刑事のひとりが東映ほか各社、凄みある悪役で名を売った今井健二。豪華な男優陣だ。

館理人
館理人

今井健二さんも出演作多数ですが、前出の『蘇える金狼』にも出演していますヨ。

 ところで、たった2日の物語でヒロインは、理不尽にも彼らに何回暴られたのか? 各自で数えて、大いなる不条理さを反芻すること。それがこの映画の“後戯”となるのである。

(轟夕起夫)

館理人
館理人

補足! この女性、暴られっぱなしじゃなく反撃もします、ここ大事!

轟

ビデオボーイ1999年9月号掲載記事を改訂!