こちらの映画レビューは、日活ロマンポルノのタイトルを紹介していく男性誌での連載コラム記事の復刻です。
その前にロマンポルノ解説を少々。
ロマンポルノは、R-18の映画で日活のレーベル。アダルトビデオとは別くくりの、年齢制限のある一般邦画として分類される映画です。
詳しくはこちらで紹介しています。
前置き以上!
あ、コンプライアンス意識皆無時代のコラムゆえ、所々のバカすぎる文面には要注意でお願いします。
データ
1975年
監督:神代辰巳
出演:芹明香、石井まさみ、安達清康、谷ナオミ、二條朱実、奈良あけみ、松井康子、丘奈保美、浜村純、江角英明、小松方正、高橋明、小林亘、庄司三郎、西沢敏郎、天川恵介、南黎、間寛平
脚本:神代辰巳、岸田理生
間寛平ヒット曲あやかり“三角関係”お祭りマラソン
「よッ、社長、ナイスショット!」
とりあえず、意味もなくヨイショをしてみましたよ(何のために?)。
話は急に変わりますが、皆さんは正月映画、何をご覧になりましたか? えっ、ブラピの『ファイト・クラブ』を? あなたは『こち亀 THE MOVIE』ですか? 趣味がよろしいでんな。
一体、誰と話しているのでしょうか…。解説すると、どちらも日本では1999年12月公開だから一応「正月映画」。 しかし「正月映画」ってえのも、もはやレトロワードなんですかね。年末年始のお休みに大作映画が盛大に公開され、普段映画を見ない人たちもお正月レジャーのひとつとして、ふらり劇場に見に行っちゃう文化がありました!
え〜、ここにご紹介いたします『濡れた欲情 ひらけ!チューリップ』は、1976年度の幕開けを飾った正月映画だったんですよ日活ロマンポルノの(1975年12月24日公開)。
『濡れた欲情 ひらけ!チューリップ』ってタイトルが、お祭り的「正月映画」にラインナップされてたなんて、なんだか今振り返るとすごいです。社会のキャパが半端ない感じがします。
といってもコレ、明らかに便乗企画モノ。1975年に『ひらけ!チューリップ』という大ヒットしたコミックソングがありまして。唄っていたのはあの間寛平。
「日本全国一億一千万パチンコ愛好家に捧げる応援歌」と銘打ち、そりゃあもう日本全国誰もが一度は「ひ〜らけひらけーパっとひらけ〜、チュ〜リ〜ップ」なんて口ずさんでたわけですよ。
それが気がつけば何と、年末にはロマンポルノが一丁出来上がっていたと。
早ワザ。ドえりゃあ企画力。きっと誰かが目ざとくひらめいたんでしょうね。パ“チンコ”ときて“パっとひらけ〜”とくれば、「ハッとして! Good」。玉がじゃんじゃん入って閉じたり開いたり……まさに大人のチューリップ。
「ハッとして! Good」は田原俊彦さんのヒット曲。もちろん関係ないです、この映画と。
しかし映画には寛平ちゃん、主題歌を提供し、チラリと出てもいますが、主演はまったくの別。
大阪のパチンコ店に出入りする釘師のアキラと、プロのパチンコ打ちのヒロシ、こいつらが一応の主人公。
監督は神代辰巳。天才です。
神代辰巳監督については、こちらに関連記事があります!
たとえばこんなシーンがあります。モテモテのヒロシをめぐって、ふたりの女が往来でケンカをします。ひとりはラーメン屋台の女。もうひとりはパチンコ屋の店員マキコ(演ずるは芹明香!)。
芹明香主演作にはこちらもあります!
さてここで、神代辰巳が天才的なのは、ふたりの女に口論させるでも取っ組み合いをさせるでもなく、ひたすら走らせる点にあります。それものべつまくなし「屋台を引っ張らせ」ながら──。
どういうことか?
白昼。屋台を引く女のところにヒロシとマキコが現れる。すわ、抗争勃発か!? だが女は、構わず屋台とともに走り続ける。
ヒロシとマキコも、怒号を飛ばしつつ追いかける。
屋台が御輿に見える。これは、“三角関係”お祭りマラソンなのである!
このめくるめくアクションの持続がすンばらしい。こいつを正月から楽しめたとはねえ〜。思わず声がこう出ますよ。
「よッ、神代辰巳、ナイスショット!」と。
ビデオボーイ2000年3月号掲載記事を改訂!
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