こちらの映画レビューは、日活ロマンポルノのタイトルを紹介していく男性誌での連載コラム記事の復刻です。
その前にロマンポルノ解説を少々。
ロマンポルノは、R-18の映画で日活のレーベル。アダルトビデオとは別くくりの、年齢制限のある一般邦画として分類される映画です。
詳しくはこちらで紹介しています。
前置き以上!
あ、コンプライアンス意識皆無時代のコラムゆえ、所々のバカすぎる文面には要注意でお願いします。
データ
1986年
監督:小沼勝
出演:柳美希、伊藤裕平、大谷一夫、小松明義、隈本吉成、篠原勝之、田山涼成、北原理絵、水木薫、中原潤、皆川衆、三好美智子、小川亜佐美 脚本:荒井晴彦
音楽:メトロファルス 原作:やまだ紫
月9でいける?不倫話
常磐線に乗り、「亀有駅」南口で降りて徒歩5分。目の前の“ゆーろーど商店街”をまっすぐ進んで、突きあたりを左折したところに映画館「亀有名画座」はある。
こちらのコラムは1999年の雑誌コラムとなります。
来たる1999年3月に閉館。とうとう区画整理のため取り壊されてしまうのだ。
このコラムが掲載された雑誌発売のタイミングが、閉館のちょい前でした。
日活ロマンポルノやピンク映画の数々を上映してきた専門館(ときたまマンガ祭りも)。取り壊しの噂は前から随分されていた。うすうす覚悟もしていた。
映画館ごとに個性がある専門館が次々閉館になっていった時期です。
多くはないが思い出がある。紹介する『ベッド・イン』だって、俺はかつてこの「亀有名画座」で観たのだった。
『ベッド・イン』はコミックモーニングに掲載され、評判を呼んだやまだ紫の劇画「ゆらりうす色」の映画化。
脚本は荒井晴彦。適齢期を越えたOL、笑美(柳美希)と妻子のいる男、小林がゆきずりでカラダを重ねたあと、不倫関係に陥る話だ。このままフジテレビ「月9」に流してほしい名作である。
このコラムは1999年に掲載されたものです。1999年のフジテレビのトレンディドラマ「月9」枠といえば、『Over Time-オーバー・タイム』(主演:反町隆史、江角マキコ)、『パーフェクトラブ!』(主演:三上博)、『氷の世界』(主演:竹内豊、松嶋菜々子)などがありました。
映画館の専門館に人が集まらなくなったこの時代、反対にテレビドラマ界隈は大盛況! とくに月9は、振り返れば90年代が黄金期でした。
ただし、バターを使ったアナルセックス・シーンがあるが。
そのシーン込みで「月9」化なら、すさまじい話題作になりますね。まあ、フツーにないですね。
でもバカな夫婦の痴話ゲンカや芸能人の説教話をテレビがタレ流しするぐらいだったら、こっちのほうが断然イイ。
ドラマとワイドショーに喧嘩を売っているようです。
それにしても最近、並木座、大井武蔵野館と次々に名画座が潰れていくな……って俺に嘆き悲しむ資格はない。大体ここんところ「亀有名画座」とはトンと御無沙汰だった。ゴロあわせで『ベッド・イン』を引き合いにだすわけではないが、都合のいいときにヤリに行っていた女がいつの間にか引っ越していた──この場合は「死んでいた」のほうが正確か──って感じだ。
違うと思います。
ま。最後の供養ってとこか。おっと、まだ死んじゃあいない。
2度目いいます、違うと思いますね。
とにもかくにもいよいよ亀有名画座ラストショーである。閉館までのラインナップに渡辺護の『秘湯の町 夜のひとで』や小水一男の『ラビットセックス 女子学生集団暴行事件』があるじゃないか。
高橋伴明の『襲られた女』や田中登の『(秘)女郎責め地獄』と、ここで逃したら二度と観られぬ逸品揃い。
『(秘)女郎責め地獄』についてのコラム記事はこちらにあります。
28日にはあの大杉漣サンも出ている大傑作『ぼくらの季節』もやる。
そしてラストを締め括るのは神代辰巳の『恋人たちは濡れた』。これは田舎のウラびれた映画館でフィルム運びをやっている男の黄昏のロマンポルノだ。
『恋人たちは濡れた』ではないですが、神代監督の『濡れた唇』についてのコラム記事はこちらにあります。
監督・神代辰巳関連記事はこちらに!
ちっきしょう、泣けるじゃねえか!
ちなみに今回『ベッド・イン』はやらない……じゃあこれは単なるマス埋め原稿か? そう取るなら取りやがれ。この雑誌を発売日に買って、奇特にもこのコーナーを読んだキミがもしも常磐線に乗って「亀有」で降りたなら、俺は何も言うことはない。ありがとう。
えっと。亀有名画座についてのコラムでしたっけ…?映画の内容紹介がほぼ3行って…
ビデオボーイ1999年4月号掲載記事を改訂!
『ベッド・イン』はU-NEXTで見放題タイトルにラインナップされています(2021年7月2日まで、2020年11月現在)。
ロマンポルノを鑑賞するためのサービスについて、関連記事はこちらです!