泣ける!『母娘監禁・牝』日活ロマンポルノ映画おすすめコラム

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館理人
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こちらの映画レビューは、日活ロマンポルノのタイトルを紹介していく男性誌での連載コラム記事の復刻です。

館理人
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その前にロマンポルノ解説を少々。

館理人
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ロマンポルノは、R-18の映画で日活のレーベル。アダルトビデオとは別くくりの、年齢制限のある一般邦画として分類される映画です。

詳しくはこちらで紹介しています。

館理人
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前置き以上!

あ、コンプライアンス意識皆無時代のコラムゆえ、所々もろもろバカが爆発しているので要注意&ご容赦でお願いいたします。

 データ

監督:斉藤水丸(信幸)
脚本:荒井晴彦
出演:前川麻子、加藤善博、かがみ愛、梶谷直美、九十九こずえ、下井田育美、河原さぶ、本多菊次朗、千葉裕子、田辺広太、上田耕一、吉川遊土

ついつい熱く語りたくなる傑作!

(轟夕起夫)

 ドスンドスン、と冷蔵庫の戸が叩きつけられる。何度も何度も叩きつけられる。

 涙が出そうになる。いや、必ずや出る。『母娘監禁・めす』の一場面だ。

館理人
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あ、この回のコラム原稿はアツそうです。傑作の気配。

 女子高生3人が浜辺で談笑している。「セックスなんてイヤ」とか「死んじゃう?」とか、たわいもない話。主人公はチヅル(前川麻子)という。ウォークマンから聴こえてくるのは「ひこうき雲」。

 1973年にユーミン=荒井由実が発表したデビューアルバムのタイトル・チューンで、家の近くで起きた高校生同士の飛び降り心中と、彼女の同級生の死をモチーフにした名曲だ(ここで流れているのはカヴァーバージョン)。

 なるほど。伏線だ。シーンが変わると、ひとりがデパートの屋上から飛び降り自殺する。

館理人
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聴きたくなりますね、ひこうき雲。松任谷由実 オフィシャルYouTubeチャンネルに弾き語りを見つけましたので、貼っときます! なんかもう、この曲からして泣けます。

 チヅルは、あとを追おうとするが果たせず、彼女の中で何かが終わる。テレクラで出会った男(加藤善博)にヴァージンを捧げ、家に転がりこみ、その優しさとカラダに、自分の居場所を感じて離れられなくなる。

 だが、男は無一文で、彼女に売春を強要しはじめる。できなければ、友達を売れともいう。コイツはセコい売春の斡旋で食っているロクデナシなのだ。ひどい仕打ちの数々に、彼女は一度は捨てた大人の世界に助けを求める。

 電話を受けて母親は、男の家に現れるが、娘と引き換えに、カラダでカタをつけるハメになる。一人目。無反応。しかし二人、三人と相手をしていくうちに抗えず、娘の目の前で喜悦の声をあげてしまう!

 律動する腰、尻の描写が、目に痛すぎてチヅルは冷蔵庫の戸を叩きつける。ドスンドスンと。そして冷蔵庫の中にすっぽりカラダを埋め、さめざめと泣き叫ぶ。

 脚本は荒井晴彦。監督は斉藤水丸(信幸)。

 このあとチヅルは母親のもうひとつの「律動」を見て、出奔するのだが、にしても素晴らしいのは前川麻子だ。

 本作でヨコハマ、おおさかの映画祭最優秀新人賞、にっかつロマン大賞でも作品賞とともに主演女優賞に輝いた。

 1990年代初頭、情報誌「シティロード」の愛読者には映画評&人生相談のコーナーでお馴染みだろう。演劇人にして、「靴屋の娘」で小説新潮新人賞を受賞した作家としても活躍。彼女はひこうき雲のように空を駆けあがった。

館理人
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著書は他に「パレット」「晩夏の蟬」など!

 2001年のこと、本作はニュープリントが焼かれ一部の映画館で限定公開された。館主の情熱だ。トピックスとして記録しておく。

轟

ビデオボーイ2002年2月号掲載記事を改訂!

 

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