どーゆー? どんなブームがあった? 今もフツーに面白い初めてのチャップリン映画、初級解説!

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Photo by Murray Campbell on Unsplash
館理人
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喜劇の王様、チャールズ・チャップリン(1889〜1997年)。社会風刺の効いたコメディ・サイレント映画を数多く世に放った監督・出演・プロデューサー。

館理人
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チャップリンについて、ざざっとご紹介です。

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ストーリーラインに関係なく、どこから観てもOKのサイレント

 あれは「ビバ!チャップリン」の渦中だったのか、それともその余波だったのか。 1970年代、筆者が小学生のとき、知り合いのオニイサンに連れていってもらい、渋谷の名画座で『チャプリンの黄金狂時代』と『モダン・タイムス』を観た。

館理人
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世界中でチャップリン回顧ブームがあった1972年、日本で「ビバ!チャップリン」と銘打たれた、『モダン・タイムス』など代表作10本が順次劇場公開されるお祭り的上映がスタート、異例の大ヒットを記録したのでした。

 後日、ひとりで(旧)日本劇場へ行き、『チャップリンの独裁者』を観たのもよく覚えている。

 当時、映画評論家・淀川長治氏のラジオ番組「私の映画の部屋」を愛聴していたので、“淀長節”を教典代わりに、動き飛び回るチャップリンを素直に楽しんだ。

館理人
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淀川長治(1909〜98年)は長寿テレビ番組「日曜洋画劇場」で、名調子で映画を解説し続けた(32年間!)、お茶の間の国民的映画評論家! 著書も多数です。

 

 またテレビで放映された、弁士・フランキー堺の「チャップリン小劇場」、愛川欽也による吹替版『チャップリンの独裁者』なども忘れがたい。

 さて。チャップリンはいまでも十分面白い。作品的にも、また清濁合わせたプライベートの領域においても(ロマン・ポランスキーと双璧だ)。

館理人
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映画監督ロマン・ポランスキーは、当時の妻、女優のシャロン・テートが身ごもったまま殺された事件、未成年への性的行為をめぐる判決から国外脱出に至るなどなど、波乱なプライベートの持ち主。

代表作に、ハリソン・フォード主演のサスペンス『フランティク』などがあります。

一方、チャップリンは3度の結婚相手が未成年だったことや、隠し子訴訟をゴシップ記事に取り上げられたり、冷戦時代に映画が容共的ということで国外追放されるなどなど、こちらも波乱なのでした。

 中には『モダン・タイムス』のように、鮮度の落ちかけた題材もあるが、そのメッセージの芯はふやけてはいない。

 かつてスイスのチャップリン邸まで自力で会いにいった萩本欽一氏に取材する機会を得たことがあったが、チャップリンの笑いの秘密は発掘されたNG集(昔、NHKで特集放映された!)にあるとのこと。

 贅を尽くした完全主義、不世出の天才ぶりゆえに、今後ますますワン&オンリーの存在となるはず。

 どの映画も、チャップリンの至芸を収めたドキュメント、としてとらえられていくだろうし、ダイレクトに笑えなくなっても、ラウンジ・ムービー(眼の快楽)として愉しめる。

 何しろストーリーラインに関係なく、どこから観てもOKなのだから。

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知っておきたい『殺人狂時代』

 ところで原案オーソン・ウェルズの『殺人狂時代』で、チャップリンはそれままでの真正直なヒューマン路線を引っ繰り返した!

館理人
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オーソン・ウェルズは俳優・監督。代表作に『市民ケーン』があります。

 実生活での数々の結婚と離婚とで、色魔と(カゲで)呼ばれていたチャップリンが、金持ち中年女をダマして結婚し、殺して、保険金をゲットする男を演じた。

 これはカラダを張った、ダークなキャラクターだ。

 当時父権認知の訴訟を起こされたジョーン・バリーという小娘との愛憎こもごもも反映され、チャップリンの女性観の一端が垣間見られる。

 ラストの有名な独白は、一世一代の汚れキャラ、と引き換えに放ったからこそ光る至言である。(轟夕起夫)

轟

キネマ旬報2003年6月上旬号掲載記事を改訂!