ハリウッドの映画創世記を支えたアメリカの伝説的お笑いコンビ、ローレル&ハーディを描く!晩年の実話をもとにしたヒューマンドラマ『僕たちのラストステージ』

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館理人
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チャップリンは知ってる!ではローレル&ハーディは?

伝説の大人気お笑いコンビを描いた映画のご紹介!

館理人
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『僕たちのラストステージ』(2018年)の監督はジョン・S・ベアード、出演はスティーヴ・クーガンとジョン・C・ライリー、ほか。

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レビューをどうぞ

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往年のコメディ映画の素晴らしさを再発見

Photo by Rob Laughter on Unsplash

 世界3大喜劇王といえば、チャップリン、キートン、ロイドだが、同時代に生き、映画史的にも肩を並べるような活躍をしたレジェンダリーなコメディアンがいる。「ローレル&ハーディ」がそれだ。

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チャールズ・チャップリンの映画は『モダン・タイムス』ほか、動画配信で見られるものが多いです。

ロバート・ダウニー・Jrがチャップリンを演じ、その波乱万丈の人生を描いた映画『チャーリー』てのもありますヨ!

チャップリン映画について解説したこちらの記事もご紹介しておきます!

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スラップスティックなコメディが多いバスター・キートン。数々の短編も楽しいです。

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ハロルド・ロイドが『要心無用』で挑んだ危険なスタントは、ジャッキー・チェンの『プロジェクトA』での落下スタントシーンの元ネタ。『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のクライマックスシーンでもリスペクトされてます!

 スタン・ローレルとオリバー・ハーディの2人は日本では「極楽コンビ」と名付けられ、その主演作が続々と公開されて人気を博した。

 ハリウッド創成期のサイレント映画、また時代がトーキーに移行しても才気を失わず、後世に多大な影響を与え、彼らのフォロワーはジャンルを飛び越えて数限りない。

 かのビートルズもそうで、名盤『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』の表ジャケットを飾る“名士たち”の中に選出している。それだけ、アイコニックな存在なのである。

 と、そんなローレル&ハーディの晩年を映画『僕たちのラストステージ』は描いているわけだが、オープニングは“前段”の1937年、まだ全盛期の頃。

 新作を撮影中でセッティング待ち、楽屋から大スタジオへとダベりながら並んで歩いていく2人を何と6分間ワンカットの長回しで捉えてみせる!

 やるぜジョン・S・ベアード監督、これで(ローレルとハーディのキャラ紹介を兼ねながら)一気に劇世界へと観客を引き込むことに成功している。スコットランド出身、クライム・コメディ『フィルス』(2013年)で頭角を現した逸材だ。

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『フィルス』はジェームズ・マカヴォイ、ジェイミー・ベル出演。殺人事件を追うイカれた刑事が逆に追い込まれます。

 スタジオでは(ハーディが止めていたにもかかわらず)ローレルがギャラをめぐって大プロデューサーのハル・ローチと口論になり、それを遮るように撮影が再開、2人のユニークなダンスシーンがフィルムに収められると、場面変わってそのシーンが上映されている満員の劇場へ。

 完成した映画のタイトルは『宝の山』(1937年)。

 そこからさらにテンポよく16年後にワープし、1953年の英国・ニューカッスルへ。ハリウッドの第一線から退き、しかし再起をかけてホールツアーを敢行しようとしており、ここから先は“観てのお楽しみ”──。

 小さなトップハットに蝶ネクタイ、細身のローレルを演じたのはスティーヴ・クーガン。ちょび髭、棒ネクタイに大きなシルクハットがトレードマークの巨漢ハーディはジョン・C・ライリーが。

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スティーヴ・クーガンは、出演作に、本人役で主演した『グルメトリップ』があります。ドキュメンタリーチックなドラマ、コメディアン2人のグルメ旅です。

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ジョン・C・ライリーは、出演作に、ウィル・フェレルと共演の『俺たちホームズ&ワトソン』など。

 共に鬼気迫る“再現度”なのだが、事前にローレル&ハーディの映画をYOU TUBEなどで観ておくのもオツなもの。

 字幕なしでも無問題。例えばオーソリティー・小林信彦氏が名著「世界の喜劇人」や「ぼくが選んだ洋画・邦画ベスト200」で触れている『ビッグ・ビジネス』(1929年)、『天国2人道中』(1939年)。

 そういえば『宝の山』は、(こちらもマストの書籍!)「映画 この話したっけ」の森卓也氏がオールタイム・コメディ・ベストの中に入れていた。

 もう一本、アカデミー賞の最優秀短編映画賞を獲得した『極楽ピアノ騒動』(1932年)も外せないか。アナーキーなスラップスティック・コメディの真髄で、教典のような作品である。

 まさに「故きを温ねて新しきを知る」。ローレル&ハーディが喜劇の楽しさとコンビ愛、そして人生の深淵さを合わせて教えてくれるだろう。

轟

ケトル2019年4月号掲載記事を改訂!