『セブン・シスターズ』脚本優秀なディストピアSFサスペンスの世界

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Photo by Toa Heftiba on Unsplash
館理人
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映画『セブン・シスターズ』のレビューです!

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ひとり7役のノオミ・ラパスがすごい!

【概要】

繰り返される戦争や難民問題で主要国は滅び、「ヨーロッパ連邦」が新たな超大国として君臨! そんな2073年を舞台にしたディストピアSF映画。子供時代の“7つ子姉妹”を育てる祖父役に名優ウィレム・デフォー。鮮烈なビジュアルと先の読めない展開がサスペンスを高め、ラストまで観る者をぐいぐい引っ張ってゆく。

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ウィレム・デフォーはゴッホを演じた『永遠の門 ホッゴの見た未来』でアカデミー賞主演男優賞にノミネートされています。主演作はほかに『ハンター』など!

2017年 イギリス、アメリカ、フランス、ベルギー 2時間3分 監督:トミー・ウィルコラ 出演:ノオミ・ラパス、グレン・クローズ、ウィレム・デフォー

【レビュー】

 毎年発表されている「ザ・ブラックリスト」というランキングをご存知か。メジャースタジオの重役やエージェント、マネージャーといった映画に携わる人々が投票、製作が実現していない“優秀な脚本”を選び出したリストのことだ。

 さてさて、紹介する『セブン・シスターズ』の脚本もかつて(=2010年度)、その「ザ・ブラックリスト」に入っていたスグレモノ。

 では設定を、簡略に記してみよう。

 舞台は近未来。人口過多と食糧不足から政府は厳格な「一人っ子政策」を発令中。だが、監視の目をかいくぐって一卵性の“7つ子姉妹”が生息しており、彼女たちは自分の名前と同じ曜日に外出し、順繰りにエリート銀行員“カレン・セットマン”に成りきって生活していた。

 ところがある日、月曜担当の“マンデー”が帰宅せずにどこかに消えてしまったことから、姉妹の日常が次第に破綻し始めていくーー。

 どうだろう。興味を惹かれないか?

 で、この映画の売りは、脚本だけではない。「月曜(マンデー)」から「日曜(サンデー)」まで、“7つ子姉妹”を1人で全部演じきったのが、『ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女』や『プロメテウス』のヒロイン、スウェーデン出身の姐御女優ノオミ・ラパス。

館理人
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ノオミ・ラパスは、Netflixの配信映画『クロース:孤独のボディーガード』(2019年)にも主演しています!

 全編、出ずっぱりの彼女がスゴい! 

 ここで比べるのもヘンだが、テレビアニメ『おそ松さん』は六つ子、こちらは生身で7つ子である。画面上どこを切ってもノオミ・ラパスが動き回っている。しかもひとりひとり、キャラクターが違っていて、これはギャラを通常の7倍はもらえないとやってられんぞ……と、他人事ながらそう思う。

 監督は『ヘンゼル&グレーテル』でハリウッド進出を果たしたノルウェーの奇才トミー・ウィルコラ。もともとは“7つ子兄弟”の物語だったものを、熱烈アプローチしたノオミ・ラパス嬢のために改変したのだった。この北欧コンビ、ちょっと相当なもんですよ! 

館理人
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『ヘンゼルとグレーテル』はあの童話の続きの物語。かつてお菓子の家に迷い込んだふたりは、魔女退治専門の賞金稼ぎになっています!

(轟夕起夫)

轟

週刊SPA!2018年3月13日号掲載記事を改訂!