『全然大丈夫』の大らか気分になれる御利益脱力ムービー

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Photo by Jessica Ruscello on Unsplash
館理人
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2007年、荒川良々、木村佳乃共演の映画です!

館理人
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レビューで紹介です。読んで映像を想像しているだけでも癒される気がする脱力系。

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愛すべき不器用な登場人物を見ていると、「俺も大丈夫」という大らかな気分になれる

バイトで植木職人をしている古本屋の長男・照男、29歳の「理想と現実」を脱力タッチで描く。

荒川良々にこの照男役をあて書きしたのは、「秀幸」から「容介」に改名した藤田容介監督。

かつて大人計画の舞台の映像担当で名を成し、長編映画は、怪作『グループ魂のでんきまむし』(1999年)以来!

館理人
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グループ魂とは、劇団大人計画の俳優の一部で結成されたコントロックバンド。

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 何をもって『全然大丈夫』なのか。題名の意味を、この映画は前面には押し出してはこない。でも確かに観ていると、「全然大丈夫」という大らかな気分に。

 つまりこれはそういう御利益ムービーなのだ。

 主演は荒川良々。

館理人
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荒川良々出演ドラマに、テレビ東京の「フルーツ宅配便」など。デリヘル嬢の送迎係役です。

 出てきた時点で仏顔、ありがた〜い気持ちになるが、その役柄は「世界最恐のオバケ屋敷を作りたい!」という無邪気な夢がちょいとイタい、煩悩でいっぱいの30間近の男。

 腐れ縁の友、岡田義徳が扮するお人よしなサラリーマンも含め、「全然大丈夫」ではない人たちの“ラブコメ”が展開していく。

館理人
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岡田義徳の出演作に『3人の信長』など。こちらでは3人のうちのひとりの信長役です。

 ヒロインは木村佳乃。彼女のキャラが強烈で、大好物はちくわ、強度の対人恐怖症で手先が不器用な絵描き。衝撃的なまでにドジで、ティッシュペーパーの箱のフタがうまく開けられず、エレベーターボタンを押せば人さし指を骨折!

 まるでカルト芸人・鳥居みゆきが憑依したかのような怪演で、今のところ木村佳乃史上、最高にふり切れた役である。

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木村佳乃の新作に、2020年6月公開の『騙し絵の牙』があります。大泉洋との共演。

 日々カラ回り、マイナスオーラを出している人ばかりが登場するこの映画、実はブレイク前の鳥居みゆきも出演しており、おなじみの“マサコ”キャラとは違う姿が観られる。

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鳥居みゆきは文筆、役者、ライブ…幅広いジャンルで活躍中!

 といっても荒川良々の父親役、蟹江敬三と劇中で「米」という珍妙な曲を歌うシーンでだが。

 ともかく、安易に泣きにも癒しにも着地せず、愛すべき欠落人間たちを描いて、おもしろ切ない“ラブコメ”を成立させた点は貴重。

 公開時は単館スマッシュヒットしたそうで、そんな事実を知ると日本映画も「全然」、いや、「まだまだ」大丈夫かも、と思えてくる。

轟

週刊SPA!2008年9月9日号掲載記事を改訂!