読む映画リバイバル『堕靡泥の星 美少女狩り』

再検!日活ロマンポルノ

(2001年10月号より)

その昔、ダビデとヘドバてな歌手もいましたナ

 「70年代劇画の残虐非道の極致!」

 そんな派手派手しいコピーとともに復刻された鬼才・佐藤まさあきの『堕靡泥の星』(アスペクト刊)。事実、その惹句に偽りはない。ナチスが占領下、ユダヤ人に強制的に刻印した紋章〈ダビデの星〉。主人公は、アウシュヴィッツ捕虜収容所の惨劇を告発した『夜と霧』でオナニーしちまう恐るべき男、神納達也だ。人間本来の姿は悪にある――と女たちを地下室に監禁し、陵辱陵辱陵辱の嵐。酸鼻極まりない光景がとめどもなく目の前で繰り広げられる。

 と、ここまではイントロ。

 本題は映画化された『堕靡泥の星 美少女狩り』のほうである。

 監督は鈴木則文。

 え〜!? あの『トラック野郎』シリーズの天才が? そう。理由のひとつは『ドカベン』『伊賀のカバ丸』……とコミックの映画化といえば則文、ってちょっと違うだろ。じゃあデビュー当時の多岐川裕美に鞭打ち、ハダカにひんむいた『聖獣学園』(74)からの流れ、っていうのはどうか。ヒロインに波乃ひろみ(75年ミス日本!)を持ってくるあたりに則文の趣味が反映されているのかもね。さらに因縁深いのはこの人がロマンポルノに先駆けて、日本の“ポルノ映画”第一号『温泉みみず芸者』(71)を監督していること。つまりロマンポルノ初の他者監督となった本作は、〈東映〉ポルノのパイオニアからの“お礼参り”でもあったのだ。

 則文式の、復讐戦の一例を挙げよう。
 な、なんと友情出演・菅原文太!
それは映画の中盤、思いもかけない形で実現する。激しい陵辱シーンの後、突然場面が夜に変わり、ジョーズ(!)のペイントを背負ったデコトラが姿を現すや、助手席に座ったオヤジのこんな声が――。

 「ホントだよ。お前、おなごのアソコがなぁ、上(ウワ)つきかそうでないか、いいか、鼻で見んだよヘッヘー。ダンゴっ鼻はよくねえしよ、たれっ鼻はもっとよくねえんだヘッヘッヘー」
 「女も鼻で見んのか!」
 オヤジのエロ話に興奮した運転手は、遅ればせながら自己紹介する。
 「オヤジよ、俺、星桃次郎っていうんだけど、今日は勉強になったなあ、アハハハハ」
 『トラック野郎』の桃さんが映画をしばしジャック! 東映が日活ロマンポルノを蹂躙! これぞ映画による映画へのSM行為だ!

 が、そんなことはおかまいなしに、さらに桃次郎はカメラ目線で、
 「人生、勉強勉強! 今日はいいヒト乗せたよなあ〜」
 いやあ、ボクちんこそ大変勉強になりました。則文先生に敬礼!

[月刊ビデオボーイ掲載]
●監督:鈴木則文●出演:池乃ひろみ、八城夏子、他●1979年●日本