読む映画リバイバル『ラスト・キャバレー』

再検!日活ロマンポルノ

2001年日活ロマンポルノの旅

(2001年2月号より)

 何かが終わってしまうこと。永遠に続くかと思われていた時間が、不意に中断され、結末へと辿りついてしまうこと。

 だが、終わりはいつだって、新たなる“始まり”を代わりに告げてゆくだろう。

 な〜んちゃってね。

 こんなふうな感傷に、思いっきりひたらせてくれるのが『ラスト・キャバレー』という作品なのだ。平成『ガメラ』シリーズや『クロスファイア』で知られる日本映画のエース、金子修介監督の、日活ロマンポルノへの惜別の一篇。

 舞台は、数日後に閉店してしまうキャバレーである。この機を利用して女子高生のヒロイン(かとうみゆき)は、店をたたむ経営者の父(大地康雄!)の過去をさぐり、不在の母親探しをはじめる。

 ラストシークエンスの、キャバレーのさようならパーティ・シーンが素晴らしい。風祭ゆき、岡本麗、江崎和代、橘雪子といったロマンポルノゆかりの女優陣も顔を見せるなか、ヒロインは人目を忍んで恋人と交わる。すると何かの拍子で天井のスプリンクラーが作動し、会場に、そしてカラミあう二人のもとに水が撒かれ出す。

 まるであたりはどしゃぶりの雨模様!

 この、人工的な“雨”がいいのだ。そう、ロマンポルノとは徹底して、人工的なフェイクの世界であった。ウソにウソを重ねて、突拍子もないロマン(物語)を強引に、はたまた巧妙に、観る者に信じ込ませる手練主管。つまりは映画の力。折しも時は1988年。長き歴史に幕を引こうとしていたロマンポルノを金子修介はキャバレーに見立て、そこにウソの“雨”を思いっきり降らして場を盛り上げ、そのフェイク美の歴史を自ら反芻したのだった。

 終わりは新たなる“始まり”――。

 そんな後味を残して『ラスト・キャバレー』はエンドマークを迎える。なるほど、金子修介の存在が、身をもってそれを今日まで示し続けているだろう。

 ところで、2001年1月19日、渋谷パンテオンで開催される日活ロマンポルノのオールナイトイベント「新世紀エクスタシーNIGHT♡(仮)」は、スクリーンでそのフェイク美を味わう絶好の機会である。ちなみにラインナップは、田中登監督の問答無用の傑作『実録阿部定』。柄本明が『マスク』のジム・キャリーばりに変身しちゃう小沼勝監督の『Mr.ジレンマン 色情狂い』。神代辰巳監督の世界的遺産『恋人たちは濡れた』。そして、もちろん最後を飾るのは『ラスト・キャバレー』。

 どうだろう。キミも、終わりが新たなる“始まり”を告げてゆくその瞬間に立ち会ってみないか。

[月刊ビデオボーイ掲載]
●監督:金子修介●出演:かとうみゆき、渡辺航、橋本杏子、他●1988年●日本