読む映画リバイバル『暴行!』

再検!日活ロマンポルノ

優作の歌は、アルバム『まつりうた』に収録

(2002年6月号より)

 ラジオが好きだ。はっきり言ってテレビよりも。はるか昔、あの野田秀樹がラジオ番組を持っていたとき、「お耳の恋人、野田秀樹です」という名フレーズを発していたものだが、まさにラジオとはお耳の恋人。今回は、そんなラジオ好きの俺にとってグっとくるロマンポルノを紹介するとしよう。

 冒頭、閑静な別荘地。管理人の男(益富信孝)は備えつけのスナックの店主でもある。ラジオからは因幡晃の「わかってください」。それを真鍋理一郎のグルーヴィーな名曲が遮って題名が出る。『暴行!』。日活ニュー・アクションで鳴らした澤田幸弘監督の作品だ。

 スナックに突如、男を棄てたはずの妻(梢ひとみ)が戻ってくる。男は黙って許し、妻を抱く。だが彼女は逃走中の暴力団と関わりを持っており、スナックはたちまちそのヤバい奴らの籠城の場に。

 監禁され、何度も屈辱を味わった男はついに反撃に転じ、皆殺しにする。愛する妻以外は。なのに銃を向ける妻。男は犯す。BGMはラジオから流れてくる山崎ハコの「綱渡り」。曲が終わるとDJが「朝方近くに聴くのもいいですねえ」なんて呑気に語り始め、実は25時間ノンストップ・ディスクジョッキーに挑戦中であったとラジオの声は言う。
「いよいよ最後の曲を紹介することになりました。え〜、山崎ハコのファンでもあり、彼女の曲をよく、普段口ずさんでいる俳優、役者の松田優作さんの歌を最後に聴いてもらいたいと思います。その曲は『ある子供の話』……」

 言うまでもなく優作は澤田監督の『あばよダチ公』(74年)で初主演。『レイプハンター・狙われた女』(80年)にもゲスト出演した仲だが、それにしても優作が山崎ハコのファンで、彼女の曲をよく口ずさんでいたとは! 脚本は佐治乾(と斉藤信幸)だから本当なのだろう。『探偵物語』の第7話「裏街の女」も澤田監督と佐治乾のコンビ作だ。

 おっと、映画のほうは妻の「人殺し」の一言にキレ、男が壷を頭に落とし、そこにDJの「どうもお付き合い有り難うございました」の声が。外へ出た男は結婚指輪を石で叩き割り、再び真鍋理一郎の音楽で劇終。カ、カッコいいぜ!

 ところで1971年、ミスターDJ・糸居五郎が50才の誕生日=1月17日に「50時間マラソン・ジョッキー」というのをやっている。『僕のDJグラフィック』(第三文明社)には1曲目に「タッチ・ミー」をかけたとある。それから二昼夜にわたり800曲以上。しかしラストの曲については記されてはおらず。一体、何をかけたのだろうか?

[ビデオボーイ掲載]
●監督:澤田幸弘●出演:梢ひとみ、宮井えりな、益富信孝、他●1976年●日本