こちらの映画レビューは、日活ロマンポルノのタイトルを紹介していく男性誌での連載コラム記事の復刻です。
その前にロマンポルノ解説を少々。
ロマンポルノは、R-18の映画で日活のレーベル。アダルトビデオとは別くくりの、年齢制限のある一般邦画として分類される映画です。
詳しくはこちらで紹介しています。
前置き以上!
あ、コンプライアンス意識皆無時代のコラムゆえ、所々のバカすぎる文面には要注意でお願いします。
データ
監督:小沼勝
助監督: 田中登
出演:田中真理、相川圭子、吉沢健、織田俊彦、水木京二 、ほか
キテレツ系「女体レイアウト」映画?
(轟夕起夫)
この『ラブハンター 熱い肌』というキテレツ系「女体レイアウト」映画を賞味する前に、ひとつ考えておかねばならないことがあると思う。
言い方…。
死語ですねキテレツ。=イミフ、って感じでしょうか。「女体レイアウト」ってのもイミフですが。
それはズバリ、高倉健の缶コーヒーのCMだ。そう。ひとり浜辺に佇む健さんが「タカクラケ〜ン、しっかりしろォー!」と叫び、自らを叱咤していたアレである。
ズバリ、高倉健さんは『ラブハンター 熱い肌』には出演していません。ですので、話がいきなり脱線しています。ご注意ください。
1997年のコラムにつき、さすがに話題が古いですね。当時は高倉健さん、ご健在でCMでもご活躍の時代でした。
俺は問いたい。「しっかりしろォー」って何をよ? まさか例の香港の、黒社会に高級ベンツを盗まれちゃった自分にゲキでも飛ばしていたのか。
ありましたねえ、あれは高倉健さんだけじゃありませんでした。所有している高級ベンツが盗まれて、香港に密輸入された事件が当時ニュースになりました。
だいたいである。そもそもである。己れに対し、何のテライもなく激励の言葉をかけてしまう「ガンバッ、私」みたいなヤツを、世の中は一言「サブい!」と断罪してきた。なのになぜ健さんが?
「サブい!」もほぼ死語ですかね。この場合は=「イタい!」でしょうか。
そこで『ラブハンター・熱い肌』なのだ。
やっとですね、映画の話はここから!
ヒロインの、ブルショワジーの若奥様。不能の夫と悶々と、満たされぬ毎日を過ごすその田中真理嬢の前に現れた、半勃起顔のイカれた野郎。以下、半勃起と彼女との会話。
館理人
言い方。
「あんたの匂いが忘れられなくてね、いまのが亭主かい」
「カンケーないわ」
「いつもそう言うなあ」
「私の口癖なの」
「もう一度言ってみなよ」
「なぜ?」
「カンケーないわって言うときの唇の動きがカワイイぜ」
くー、さすが半勃起。
言い方!
思わず背中がモゾモゾ痒くなるぜ。しかし彼女はといえば、その場でキッとにらんで家に戻ったものの、やがて鏡に映った自分に向かって唇を動かすのだ。
「カンケーないわ、カンケーないわ」
もうこのあと、映画の中で何が起きても驚くことはない。夫にブーツや皮紐や極太ロウソクやらでフェティシュにいたぶられ、カーSEX中に車もろとも浮気男とガケから落ちてみたり、半勃起野郎とも寝てみたり。
言い方…
でも彼女の心はいつもこうだ、
「カ・ン・ケ・イ・な・い・わ」
自己完結──。
やはりかつてCMで、「自分は自分です」とのたまった高倉健のようにどこまでも自己完結したヒロイン。
あ!まさかのここで高倉健さん、伏線回収!?
「サブい」けれども男はそういう女にとてつもなく、弱い。
まさかの「サブい」も回収されました。
つまり、その自己完結の輪の中でトコトン翻弄され、アップアップに溺れたくって仕方ないのだ。マゾか?
しっかりしろよォー、高倉健と俺。
「しっかりしろよォー」も回収っ。
…って、回収しても繋がりがイミフでしたが。酔っぱらったまま書いたのか?
ビデオボーイ1997年7月号掲載記事を改訂!
『ラブハンター・熱い肌』はU-NEXTでは見放題タイトルに入っています。(2021年7月2日まで、2020年10月現在情報)
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