読む映画リバイバル『東京カリギュラ夫人』

再検!日活ロマンポルノ

〈東京〉のカリギュラはカリギュラな〈東京〉だ

(1997年10月号より)

 東京カリギュラ夫人――。

 このタイトルはまことに滋味深い。何が深いって単語のひとつひとつが“世界史”を反映しているからだ。え!? ホントにそんなデカイ話か?

 歴史を整理してみよう。

 74年、フレンチ・ソフト・ポルノの逸品『エマニエル夫人』が日本に上陸。翌年には、さっそく便乗企画『東京エマニエル夫人』と『新日本エマニエル夫人』が製作され、78年にはさらに『高校エマニエル 濡れた土曜日』と世はまさにエマニエルづくし。しかしここでは〈夫人〉の一語のほうが継承されたわけだ。

 なぜか? 時代が〈エマニエル〉に替わって〈カリギュラ〉になったからだ。暴力にFUCK三昧、酒池肉林を極め、在位3年10カ月で暗殺された第3代ローマ皇帝。その波乱の生涯をボブ・グッチョーネ(名前がナイス)が80年に映画化。製作費46億円を湯水のごとく使い、『ペントハウス』誌が初めて放ったこの史劇ポルノ大作は、たちまち世界の股間市場を席捲した(日本でも船上プレミア試写会とかハデにぶちあげてた記憶が)。で、流行語〈カリギュラ〉に〈夫人〉を合体。これに和風風味の〈東京〉の冠を乗せて、一丁あがりィと翌年登場したのが本作である。

 だが、もちろん出来上がったそれは〈カリギュラ〉とはなんの関係もなかった。ヒロイン風間舞子の性の開拓、というか“開墾”という言葉のほうがお似合いな、アース・ウインド&ファイアーなSEXシーンがワンコそば状態。ともにお腹一杯になる点だけが似ているというべきか。

 それにしても〈東京〉というのは凄い言葉だ。東京ビートルズがいれば東京エマニエル夫人もいる。東京ディズニーランドがあり、東京ビッグサイトもある。東京砂漠と嘆けば東京ララバイと泣き、東京サンシャインボーイズは解散したが、元東京JAPの赤坂泰彦は今では夜もヒッパレしている90年代。東京、東京、俺の東京。

 〈東京〉ならば何でもあり。

 妄想をかきたてるという意味ではそれは、最強のオナペットだと思う。尻軽女〈東京〉でヌく残暑の午後。

[ビデオボーイ掲載]
●監督:小原宏裕●出演:風間舞子、小山亜佐美、高原リカ、他●1981年●日本