こちらの映画レビューは、日活ロマンポルノのタイトルを紹介していく男性誌での連載コラム記事の復刻です。
その前にロマンポルノ解説を少々。
ロマンポルノは、R-18の映画で日活のレーベル。アダルトビデオとは別くくりの、年齢制限のある一般邦画として分類される映画です。
詳しくはこちらで紹介しています。
前置き以上! ではレビューをどうぞ。
『赤線最後の日 昭和33年3月31日』データ
(1974年)
監督:白鳥信一
脚本:武末勝 音楽:月見里太一(=鏑木創) 撮影:山崎敏郎
出演:宮下順子、中島葵、芹明香、風間杜夫、榎木兵衛、島村謙次、吉井亜樹子、ひろみ麻耶、高山千草、森みどり、橘田良江、大谷木洋子、織田俊彦、高橋明、玉井謙介、水木京一、桂小かん、小見山玉樹、北上忠行、清水国雄、影山英俊、谷文太、山岡正義、池田誉、萩原実次郎
あ!それから!
なんとこのタイトル、観たいと思っても、観ることがなかなか困難です。ロマンポルノのタイトルが多い動画配信サービスU-NEXTでも、さらにタイトル数の多いTSUTAYAのDVDレンタルサービスでも、Amazonのソフト販売でも取り扱いがないようです(2020年9月現在)。
ですので、このレビューにて映画の全貌を把握していただけたらと。
今度こそ、前置き以上!
助演は風間杜夫、そして中島葵!
(轟夕起夫)
中島葵、という女優がいた。
本作には助演されていますね。
そうだなあ、たとえば『愛のコリーダ』(1976年)で主人公の吉蔵の妻役を演じた人、と記せば、少しはその翳りある容貌を思いだせる人もいるだろうか。
大島渚監督が阿部定を題材に撮った映画ですね『愛のコリーダ』。世間をざわつかせた映画です。
大島渚監督についてはこちらに解説記事があります。
1945年9月20日生まれ。祖父は文豪・有島武郎で、父は名優の誉れ高き森雅之、母は元宝塚スターの梅香ふみ子。
すごい出自ですね。
児童劇を皮切りに文学座、演劇センター68/71黒色テント、劇団ホモ・フィタクスへ。TVドラマや映画でも無数の妙演を残した。
へ〜。その中島葵の妙演がこの映画の物語の中で効いてるという話ですね?
日活ロマンポルノとも初期から縁深く、なかでも滋賀銀行横領事件をモデルにした『OL日記 濡れた札束』(1974年)では主演を務め、28才にして「男狂いで身を滅ぼすハイミス」の哀しさを描出。
その素晴らしさはいまでも語り草である……のだけれども、他の作品ではたいてい“スーパーサブ”的な起用だった。
というのも彼女、名バイプレーヤー・岸田森にも比する、どんな役柄でも観る者の心を揺さぶるような“存在感”を湛えていたからだ。
岸田森がどんな俳優だったかについては、こちらに記事があります!
そろそろこの映画の話を!
宮下順子、芹明香と競演、アンニュイな娼婦役、『赤線最後の日 昭和33年3月31日』でもやはり出番は少なかった。
始まりました、ここからです! 映画の全貌が明かされます!
だが、短いながらも結婚前に筆下ろしにきた童貞青年を優しく包みこみ、そこには、聖母の温もりが──。
1991年5月16日、彼女は子宮頸がんによって45才の若さで永眠した。
あ…。
その1年後に限定1500部の私家保存版「女優 中島葵」が出た。
150人もの親友、知人たちの、追悼の意と思い出と。どの文章も涙なくしては読めない。しかも「ひとりの女の魂と肉体の記録という以上に一つの時代全体のカデンツァ」となっているのが、まったくスゴい。
…。
この偉大なる女優と並べて語るのは無謀ではあるけれども、しかし、果たして、あなたが、そして俺が死んだとき、一体どれだけの人々がその生涯について語ってくれるのだろう? 思わず、深い沈黙に包まれてしまう。
ビデオボーイ2003年3月号掲載記事を改訂!
女優・中島葵について熱く語るコラムだったようです。どんな映画かは謎のままでした…。
…あしからずっ!
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