日本の映画はずいぶん前からすっごく面白かったんだ！と、観ると知れて嬉しくなる作品群のひとつが、加藤泰映画！
轟夕起夫がチョイスした、動画配信サービスで視聴可能な「ハズさない５本」をご紹介です。
5本はこちら！
1 『みな殺しの霊歌』
2 『瞼の母』
3 『車夫遊侠伝 喧嘩辰』
4 『男の顔は履歷書』
5 『宮本武蔵』
加藤泰について
事の始まりは『宮本武蔵』だ。興奮した。血潮が騒いだ。加藤泰の名前をまだ知らぬ子供時分のことである。告白するならば、それからというもの、加藤泰の映画を観にいくと、よく泣いた。頬骨を伝う涙ではなく、奥の歯をギュッと噛みしめ、堪えきれずに溢れる涙。加藤泰といえば、この奥歯を貫く「垂直の力」である。鈴木則文監督が同じ意味のことを記しているのを後に知り、嬉しく思った。加藤泰映画の俳優たちはそれだけ観客をドラマにのめりこませてしまう。あのロベール・ブレッソンは職業俳優を排し、純粋映画を実践したが、しかし加藤泰は職業俳優の肉体を通してそれを実践した。2人は魂のアクション作家として同列だ。（轟夕起夫）
ロベール・ブレッソンはフランスの監督で、感情表現を抑えた作風が持ち味。自らの作品を映画ではなくシネマトグラフと呼んだ異才です。監督作に『ジャンヌ・ダルク裁判』（1962年）、『湖のランスロ』（1974年）など。
各作品について
『みな殺しの霊歌』
殺人罪で指名手配され、あと１年で時効を迎える男が、親しくしていた少年が追い詰められて自殺したことで復讐に燃える。時代劇の多い加藤泰の、希少な現代サスペンス劇。
監督：加藤泰 音楽：鏑木創 脚本：三村晴彦、加藤泰 構成：山田洋次
出演：佐藤允、中原早苗、応蘭芳、倍賞千恵子、松村達雄、角梨枝子、菅井きん
『瞼の母』
幼くして母と別れた博徒は、母恋しさにばくちで貯めた金を懐に旅に出る。追っ手が迫る中、母とおぼしき女性と会うが…。
監督・脚本：加藤泰 原作：長谷川伸 音楽：木下忠司
出演：中村錦之助、松方弘樹、大川恵子、中原ひとみ、木暮実千代、山形勲、原健策、夏川静江、浪花千栄子、沢村貞子
『車夫遊侠伝 喧嘩辰』
東京から大阪にやってきた車夫が、ヤクザの親分が思いを寄せる芸者を乗せる。男気と愛と信義のラブコメディ。
監督：加藤泰 原作：紙屋五平 音楽：高橋半 脚本：加藤泰、鈴木則文
出演：内田良平、河原崎長一郎、桜町弘子、藤純子、大木実、近衛十四郎
『車夫遊侠伝 喧嘩辰』で藤純子は加藤泰映画に初参加。その後、藤純子は加藤泰映画に重要な女優となります。そこらへんのお話を、富司純子（＝藤純子）さんご本人が語ったインタビュー記事、こちらにあります。
『男の顔は履歴書』
戦後の闇市で再会した元軍医と在日武装集団の韓国人。愛憎入り混じるドラマを安藤昇主演で描く。
監督：加藤泰 音楽：鏑木創 脚本：星川清司
出演：安藤昇、真理明美、伊丹一三、中谷一郎、内田良平、中原早苗、藤岡弘、三島雅夫、田中春男、浜田寅彦
『宮本武蔵』
関ヶ原の戦い直後から巌流島の戦いまでの物語。巌流島の戦いは雨の中のローアングル演出で独特の緊張感が圧巻。
監督：加藤泰 原作：吉川英治 音楽：鏑木創 脚本：野村芳太郎、山下清泉
出演：高橋英樹、田宮二郎、倍賞美津子、松坂慶子、仁科明子、佐藤允、細川俊之、浜畑賢吉、笠智衆、石山健二郎
視聴可能な動画配信サービス
2020年8月現在、上記５作がすべて動画配信サービスを利用して鑑賞できるのは、U-NEXTです。見放題タイトルに含まれています。
Amazonプライムビデオでは、レンタル作品として、『瞼の母』『車夫遊侠伝 喧嘩辰』の２本がラインナップされています。
Netflix、Hulu、TSUTAYA TVでは、ラインナップされていませんでした。
以上、ご紹介した５作品についてのみの2020年8月現在の結果となります。
