低予算で大ヒットの新感覚ホラー『イット・フォローズ』の、標的を追い続ける「それ」とは?

館理人
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監督はデヴィッド・ロバート・ミッチェル、マイカ・モンロー主演。低予算映画ながら、その秀逸なアイディアで多くの観客から支持された映画です。

館理人
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レビューをどうぞ!

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「It=それ」はとことん後をついてくる!

Photo by steffi harms on Unsplash

低予算ながら全米で4館から1600館以上に拡大ロードショーされた新感覚ホラー。

監督のデヴィッド・ロバート・ミッチェルはこれが2作目。1910年に発表したデビュー作『アメリカン・スリープオーバー』は、青春映画の傑作として高評価された。

ちなみに本作は1980年代のジョン・カーペンター映画を参考にしたそう。

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ジョン・カーペンター監督作で1980年代の映画に『ゼイリブ』などがあります。

『ゼイリブ』はロディ・パイパー主演のSFホラーアクションです。

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  問題は“それ”は何なのか?なのである。

 全米で論議を巻き起こしつつ特大ヒットを飛ばした『イット・フォローズ』。直訳すれば「それが追いかけてくる」。そう、「It」=“それ”はとことん後をついてくるのだ。標的が死ぬまでずーっと。諦めることなく。

 話を少し整理しよう。

 好きな相手と念願のSEXをした19歳の女子大生がいる。すると相手は彼女を薬で眠らせ、廃墟へと連れ去り、ある告白をする。すなわち「俺が感染した“それ”をさっき、君に移した」と。

 彼女は移されたヤバい“それ”を目撃、以後、命を狙われることに――。

 何だよ思わせぶりに“それ”を繰り返し、ボカシやがって!という読者の声が聞こえてきそうだ。

 でも仕方がないのだ。“それ”の正体は“それ”でしかないのだから。

 男の説明によれば“それ”は変幻自在で動きは鈍いが頭はいい。その姿は、移された者だけにしか見えず、SEXで人に移せるが、相手がもし死んでしまったら元の木阿弥。

 映画史を振り返ればこれまで、画期的な“恐怖の存在”が数々登場してきたが、本作の脚本&監督を手がけた俊英デヴィッド・ロバート・ミッチェルは新たな発明に成功したのである。

 主人公の女子大生役は、超大作『インデペンデンス・デイ:リサージェンス』のヒロイン、マイカ・モンロー。

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『インデペンデンス・デイ:リサージェンス』は、『インディペンデンス・デイ』の続編。

宇宙船が都市上空に出現する『インディペンデンス・デイ』、1作目の主演はウィル・スミス、『〜リサージェンス』の主演はジェフ・ゴールドブラム。

いずれも監督はローランド・エメリッヒです。

 彼女を救うために仲間たちがいろいろと協力するのだけれども、そこから浮き上がってくるのは大人になること、未来への漠たる不安を抱えた若者たちの青春群像だ。

 ミッチェル監督はホラー映画の枠を飛び越え、世界的な文豪ドフトエフスキーの「白痴」やT・S・エリオットの詩を引用、全米で真面目に“それ”の意味しているものが論じられたのだった。

館理人
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イギリスの詩人、T・S・エリオットの詩集に「荒地」などがあります。

 ネットを開けば、すぐに答えが出てきてしまうご時世だが、未見の方はまず作品に当たり、“それ”の正体を独自に探ってみてはいかがだろうか。

館理人
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デヴィッド・ロバート・ミッチェルの近作にミステリーサスペンス『アンダー・ザ・シルバーレイク』があります。

轟

週刊SPA!2016年7月12日発売号掲載記事を改訂!