なにせ監督が勝新太郎! 1989年の映画『座頭市』は、それまでのシリーズにあったサブタイトルがナシの勝負作。
他の座頭市シリーズの中にも傑作はいくつもありますが、これは別扱いにしていい映画です。
※座頭市シリーズについては、こちらの記事で詳しく紹介しています。
映画は大ヒットとなりましたが、制作過程でトラブル連発、制作費はかさみ、死亡事故も起こってしまったことで、公開当時はそんな話題がセットとなった作品ではありました。
時を経て改めて鑑賞すれば、どっぷり世界に浸ってしまう面白さ!
エンターテイナー勝新太郎まるわかりの純正映画
自ら製作・監督、主演した勝新太郎版で最後の「座頭市」映画。
何やら当初は、市ッつあんの元仲間の金貸しが緒形拳、老忍者の頭領に三木のり平、浪人は松田優作という配役で準備稿ができ、別案で中森明菜をヒロインにした恋物語バージョンも浮上。
それも観たかった!
最終的には、緒形拳、三木のり平に、蟹江敬三、江幡高志、川谷拓三ら馴染みの顔に加え、内田裕也、陣内孝則、安岡カ也、ジョー山中といったニュー・イヤーズ・ロックフェスな面々をフィーチャー。
実子・奥村雄大(後に改名・鴈龍)も参加させ、シリーズ集大成的な『座頭市』に仕上げた。
宿場町の娘役、新人・草野とよ実に演出をつけるメイキングを観たことがあるが、勝新は女性を撮ることに長けた人だった(TVシリーズでの監督作をぜひ)。
女親分・樋口可南子との艶っぽいシーンもあり、終盤の市ッつあん、一大ジェノサイドは毎度ながら壮絶。
撮影時のリハ中、真剣による殺陣師の死亡事故という不幸に見舞われたが、映画で遊ぶことをとことん追求した宝物。再評価されるべき。
映画秘宝2009年11月号掲載記事を改訂!
『座頭市』は、残念ながら動画配信サービスでは見当たりませんでした。鑑賞はDVDレンタルショップや、DVD宅配レンタルサービスで探すのが早そうです(2020年2月現在)
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