ロンドン出身の狂犬ステイサムがなんと切れ者役!英国政府の一大スキャンダルの真相『バンク・ジョブ』

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館理人
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『バンク・ジョブ』(2008年)の監督はロジャー・ドナルドソン、出演はジェイソン・ステイサム、サフロン・バロウズ、他

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役者ステイサム史上、最も頭脳を使うキレ者キャラで登場!

Photo by Wolfgang Hasselmann on Unsplash

強盗団が携帯型の双方向無線を使ったため、“ウォーキートーキー強盗”と呼ばれている事件——

1971年、ロンドンの銀行の地下金庫に侵入した犯人たちの一部始終を描くクライム・サスペンス。

その裏側には、英国最大のタブー、王室スキャンダルが隠されていた。

なお、当事件に関する書類は、2054年まで英国政府によって機密にされるという。

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 全米ではちょうど公開時期なのではないだろうか。ジェイソン・ステイサム主演の『アドレナリン2』。

 サブタイトルに“ハイ・ボルテージ”と付いた、まさかの続編だ。

 第1弾は笑撃のラストで終わっていたが、今度は「電動の心臓に取り換えられ、充電し続けないと死んでしまう」という設定。

 このシリーズが象徴するように、ジェイソン・ステイサム主演といえば今や、アクション過多な愛すべき「バカ映画」とイコール、と思われている。 

 が、ちょっと待たれよ。今回紹介する『バンク・ジョブ』では、役者ステイサム史上、最も頭脳を使うキレ者キャラで登場。

 しかも“娯楽映画偏差値”もとても高い快作なのだ。とはいえ役柄はお得意の、チンピラ風情の男ではあるが。

 時は1971年、舞台はロンドン。

 ワルから足を洗い、中古車販売業なんてやってはいるがジリ貧の主人公。それがステイサム。

 昔なじみの女に、「ベイカー街にあるロイズ銀行の地下貸金庫を狙う」計画をもちかけられ、仲間を集めて実行に移す。

 即席シロウト強盗団が2軒先の店舗から穴を掘り、目的地に侵入してゆくプロセスもスリリングだが、さらに面白くなるのはお宝を奪ったあと。

 貸金庫内には英国を揺るがす“大変ヤバイもの”も多々あって、そいつを手にした強盗団は思いも寄らぬ事態に巻き込まれていく!

 何と本作、実話をもとにした映画で、ヤバネタとは裏社会の大物の警官へのワイロ記録、要人たちのSMクラブでのご乱心写真、最大のスキャンダルは王室、マーガレット王女の……これは秘密にしておこう。

 当時、政府は国防機密報道禁止令を発動。マスコミは報道規制され、いわば事件は闇に葬り去られたのだった。そんなことまで白日の下にさらしたこの映画の功績は大である。

 諜報機関MI—5や裏社会に追いつめられ、腹を決めて駆け引きするステイサムがカッコいい。彼のことを「いい俳優だなぁ」と再認識すること必至。権力者たちへの、庶民からのカウンターパンチ。ロンドン出身の狂犬ステイサムの面目躍如だ。

轟

週刊SPA!2009年4月21日号掲載記事を改訂!