こちらの映画レビューは、日活ロマンポルノのタイトルを紹介していく男性誌での連載コラム記事の復刻です。
その前にロマンポルノ解説を少々。
ロマンポルノは、R-18の映画で日活のレーベル。アダルトビデオとは別くくりの、年齢制限のある一般邦画として分類される映画です。
詳しくはこちらで紹介しています。
前置き以上!
あ、コンプライアンス意識皆無時代のコラムゆえ、所々のバカすぎる文面には要注意でお願いします。
データ
1980年
監督:小沼勝
助監督:中原俊弘
出演:風祭ゆき、高原リカ、佐々木美子、宇南山宏 脚本:小水一男
セックスは祭りだあい 祭りはセックスだあい
(轟夕起夫)
すでにご存知の方も多いかも知れないが、これは改めて喜びを記しておきたい。
小沼勝監督がやった! 先頃、第51回ベルリン国際映画祭に『NAGISA-なぎさ-』を出品したところ、“キンダーフィルム”部門で見事グランプリを受賞。いやあ、これが喜ばずにいられようかってんだ!
こちらのコラム記事は2001年の復刻ゆえ、小沼監督の情報は当時のものとなります!
なお、小沼監督については、こちらに詳しい記事があります!
『NAGISA-なぎさ-』の原作はヤングサンデーの漫画!
“キンダーフィルム”というのは、読んで字のごとく「児童映画」のこと。当映画祭には1978年より設けられた由緒正しい部門である。
『NAGISA-なぎさ-』は、小沼監督がロマンポルノ終焉以来12年ぶりにスクリーンに復帰した、しかも初の一般映画。今回は候補作200本の中から選ばれての堂々のグランプリであった。
ところで、ここでちょいとイイ話をひとつ──。ベルリン映画祭といえば、2000年『独立少年合唱団』を出品して、アルフレート・バウアー賞(新人監督賞)を獲得した緒方明監督。このお方、若かりし時分、小沼作品に出たことがあるという。
それが『妻たちの性体験 夫の眼の前で、今…』である。もはや映画史上空前の大乱交シーンとして、世界遺産に数えられる悶絶クライマックス。野獣と化した男ども十数人が、ヒロイン(風祭ゆき)に襲いかかり、「ワッショイワッショイ」と全員でヤリまくっちゃうセックス祭り。
緒方明監督作には『のんちゃんのり弁』(2009年)などがあります。他にWOWWOWドラマ『この街の命に』(2016年)が動画配信されてたりします。
緒方氏はつまり、この別名「風祭まつり」に当時アルバイトだかで駆り出され、男どものひとりとしてやはり「ワッショイワッショイ」と参加していたわけなのだ。
緒方明監督は役者としては、『シン・ゴジラ』(2016年)では海洋生物学者役で出演してたりします!
ちなみに本作には、ヒロインとランニング中の男どもがスレ違い、互いにエロエロ光線を交わし合う、なだらかな坂道がたびたび登場するのだが、この印象的なロケーションを用意したのは助監督の中原俊弘、のちの中原俊である。
くだんの坂道を探し出したとき、彼は風祭さんと早くも映画の成功を確信し合ったのだとか。なるほど、監督デビュー作『犯され志願』(1981年)に風祭さんが出演されているのも納得です。
中原俊監督作としては『櫻の園』(1990年)、『富江最終章 禁断の果実』(2002年)など!
さて、イイ話づくしの本作にもひとつだけ謎が。それはタイトル。「妻たち」としっかり銘打ってはいるものの、妻役なんて風祭さんしか出て来ないのだ! けれども、ま、そんなことはどうでもいいか。
ロマンポルノってタイトルにコンプラ感覚皆無ですからね。
ポルノからキンダーまで、何でもありの小沼監督の「映画力」の底知れぬ凄さのほうがよっぽど謎だ。
『NAGISA-なぎさ-』は、2001年4月に池袋の新文芸坐、吉祥寺のバウスシアター2などで凱旋公開された。ここに記録しておく!
月刊ビデオボーイ2001年5月号掲載コラムより!
『妻たちの性体験 夫の眼の前で、今…』はU-NEXTでは見放題タイトルに入っています。(2021年7月2日まで、2020年10月現在情報)
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