日活ロマンポルノおすすめ復刻コラム『女高生偽日記』アラーキーの不思議の国のアリス

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館理人
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こちらの映画レビューは、日活ロマンポルノのタイトルを紹介していく男性誌での連載コラム記事の復刻です。

館理人
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その前にロマンポルノ解説を少々。

館理人
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ロマンポルノは、R-18の映画で日活のレーベル。アダルトビデオとは別くくりの、年齢制限のある一般邦画として分類される映画です。

詳しくはこちらで紹介しています。

館理人
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前置き以上!

あ、コンプライアンス意識皆無時代のコラムゆえ、所々のバカすぎる文面には要注意でお願いします。

データ

1981年
監督:荒木経惟
監督(補):中原俊弘
出演:荒井理花、森村陽子、萩尾なおみ、江崎和代、吉原正皓、浅見小四郎、小池雄介、影山英俊、港雄一、島村謙次、関口陽一、大田一水、星野麻三子、三浦さち子、ボブ・ジャクソン、フラーク・クラック、中村誠一、市川秀夫、小川亜佐美(特別出演) 脚本:中原俊弘、熊谷禄朗 音楽:中村誠一 原作:写真集「荒木経惟の偽日記」(白夜書房)

「偽」日記にあのコとヤったと書いておこう

(轟夕起夫)

Photo by Trung Pham Quoc PhbI on Unsplash

 先日、庵野秀明監督の『ラブ&ポップ』(1998年)を観てきた。

館理人
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こちら、1998年のコラム記事の復刻ゆえ、「先日」と言われても、二周ほど昔のお話しです。

 そう、村上龍原作の、あの『新世紀エヴァンゲリオン』の庵野監督初の実写映画。

『ラブ&ポップ』の原作タイトルは「ラブ&ポップ トパーズII」。

「ラブ&ポップ トパーズII」の前作にあたる「トパーズ」は、村上龍さん自ら監督して映画化もされました。なんと芸術家・草間彌生さんが占い師役!

 一言で感想を述べるなら、ちょっとHな「中学生日記」ってカンジ、登場するのはもちろん女子高生なんだけど、NHKで長年やっている「中学生日記」の問題提起なしバージョン。

 ま、そんなカンジだった。

「中学生日記」はドキュメンタリータッチのドラマで、2012年に番組は終了しました。

 さて、1981年のこと。やはりひとりの男が初めて映画を撮った。天才アラーキーの唯一の映画にして監督作『女高生偽日記』である。

破天荒な大人気カメラマン、アラーキーこと荒木経惟さんが出した写真集は、妻・陽子さんが被写体の初期作品「センチメンタルな旅」ほか、数百点!

 公開当時のポスターには、“荒木経惟映画監督童貞作 未修正淫写ポルノ”の文字が記されてあった。

 冒頭、全裸で股間の前にカメラを構えて、「カメラはカマラである」と自ら登場したアラーキーはヒロインと湯船につかりながら言う。

「今度にっかつでね、映画撮るの。『不思議な国のアリス』っていうんだよ。出ない。(キミに)ぴったりだよ」

 確かにそれを狙った作品ではあった。

アラーキーと映画といえば、荒木さんの写真(と島本慶さんのコラム)が原作となった、高橋伴明監督、鈴木砂羽主演の『愛の新世界』(1994年)とか…

竹中直人監督、主演による『東京日和』(1997年)てのもあります。こちらは、荒木経惟さん×妻・陽子さんの著書。

 六本木をプラプラしていたヒロインは、1981年の東京をさまようアリスだ。カメラマンの助手にモデルにならないかと声をかけられ、ラブホテルでビニ本の“大股開きモデル”になる。東京というSEXワンダーランドのアリスになるのだ。

「不思議の国のアリス」って言えばこちら!ミア・ワシコウスカ主演『アリス イン ワンダーランド-時間の旅-』(2016年)。

 例えば『ラブ&ポップ』の女子高生は、渋谷の109のジュエリー・ショップで見た〈インペリアル・トパーズ〉を絶対に欲しいと思う。そして指輪をその日のうちに手に入れようと援助交際する。

 つまりそれは「やりたいことや欲しいものは、そう思ったその時に始めたり手に入れようと努力しないと必ずいつの間にか自分から消えてなくなる」からだ。

 そんなのっぴきならぬ“欲望”の消費ゲームが1990年代的ならば、この『女高生偽日記』のヒロインは、いかにも横溢しているケバ立った“欲望”というものが感じられない。ただ漂っているだけ。アリスとなって性の迷宮をたゆたっているだけ。

荒木経惟さん、「Arakinema」と題した、写真のスライドショーに音楽を乗せた映像作品シリーズも数十作発表しています。

 本作のラストはーー。六本木のジャズ・バーで乱交状態の中、ヒロインはいつの間にやら縄で縛られカラダをまさぐられている。これは現実か夢なのか。

 と、ヒロインはひとりオナニーに耽っている。えっ! 淫夢なの? つまりは「偽」日記。偽物も本物も読まれる限り同質にリアルで、「いつの間にか自分から消えてなくなる」ことなどない不変な“欲望”のあり方。

館理人
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なるほど、不思議の国のアリス…。

 それが、来るべき『ラブ&ポップ』な時代に背中を向けた、アラーキーのやり方だ。

ビデオボーイ1998年2月号掲載記事を改訂!

館理人
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『女高生偽日記』はU-NEXTでは見放題タイトルに入っています。(2021年7月2日まで、2020年10月現在情報)

館理人
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