こちらの映画レビューは、日活ロマンポルノのタイトルを紹介していく男性誌での連載コラム記事の復刻です。
その前にロマンポルノ解説を少々。
ロマンポルノは、R-18の映画で日活のレーベル。アダルトビデオとは別くくりの、年齢制限のある一般邦画として分類される映画です。
詳しくはこちらで紹介しています。
前置き以上!
あ、コンプライアンス意識皆無時代のコラムゆえ、所々のバカすぎる文面には要注意でお願いします。
データ
監督:小沼勝
脚本:宇治英三 美術:木村威夫
出演:松川ナミ、志麻いづみ、仙汲和之、田山涼成、高橋明、佐川泉、庄司三郎、高林陽一(友情出演)
思わず拝む傑作!
(轟夕起夫)
京都。それは夢破れ傷つき、人生(とくに色恋沙汰)において悩める者たちの格好の“佇み”スポット。名所旧跡で、フっとため息などつくだけで、らしい“絵”がたちまち出来上がる。
大好きです!京都! でも名所旧跡で佇むのは難しいですね、混雑してます昨今。
で、女がひとり、佇んだりしている場合、BGMは渚ゆう子の『京都の恋』『京都慕情』、あるいは由紀さおりの『女ひとり』と昔っから決まっている。
京都のBGMはもっとカラリとしている方が似合う感じがします。
とにかく京都は、悩める者たちにとって歌謡曲的に、つまりベタベタに、“絵”になる聖地なのだ。
んー。歌謡曲という感じがしない…。時代の違いでしょうか。こちらのコラム、2000年の時のものですんで。
さて、この『縄と乳房』の主人公(田山涼成&松川ナミ)たちも、悩みびととして京都の地を踏みしめる。
田山涼成さん、ドラマや映画で欠かせない名バイプレーヤーですね。バラエティでもご活躍です! コメンテーターとしても!
二人はSMショーをやりながらストリップ劇場を廻っている芸人だ。あくまでSMは「おまんま」のための手段だが、とはいってもそこはプロ。二人のショーは、劇場に詰めかけた客を必ず大満足させる。それだけ毎回、迫真のSM〈演技〉がウリなんである。
だが、そんな相性バッチリの二人なのに、実はいま、コンビ解消を考えている。理由は私生活。カラダを重ねても、互いにシックリこないのだ。倦怠期というのもあるだろう。
この生活を始めてもう7年……しかし根はもっと深かった。すなわち男には、セックスのときも女の喘ぎが〈演技〉のように見える。ついSMショーでの彼女を思い出してしまうのだ。
一方、女も男がイカないのはやはり〈演技〉をしているからだと考えている。芸人ならではの深い深い悩みだ。
二人はファンと称する初老男から招待を受ける。裕福な屋敷で、地下室には責め具の揃ったSMルームもある。そこで二人のラストショーが始まった。すると初老男の手で真正サディストに調教されたその妻(志麻いずみ)が罵声をあげた。
京都での最後の仕事。
「や、やめなはれ! ここは舞台やない。気ィ入れてんのか!」
マジ切れである。そうして屋敷の主人と妻によって、二人は逆に調教されてしまう。緊縛人間振り子、水車責め……例えば京都の東寺の五重塔の講堂には、五大明王をはじめ、空海が中国から持ち帰ってきた密教の仏像がひしめきあっている。
なるほど、これは一種の密教的修行なのだ。現に主人によって剃毛され、ヒロインは本物のプレイを受け恍惚顔になっていく。それを見て男は「待ってくれ、もう一度やらせてくれ!」と嘆願し、鞭を狂おしく叩きつける。
TVバラエティ「ぐるぐるナインティナイン」の「ゴチになります!12」(2011年)ではメンバーでした。もちろん田山涼成さんの話です。
二人は〈演技〉を超えて本気になっていた。愛とは、嫉妬心の別名なのか。京都だから“絵”になる悩みびとたちの「業」の物語。最後には、思わず拝んでしまうほどの傑作なり。
それから田山涼成さん…
月刊ビデオボーイ2000年6月号掲載コラムより!
あ、コラム終わってしまいました?
ロマンポルノで、今ご活躍の名俳優を見つけるのもなんだか楽しいのでつい!
ちなみに美術の木村威夫さん! こちらの本にも登場する、日本を代表する美術監督です!!
『縄と乳房』はU-NEXTでは見放題タイトルに入っています。(2021年7月2日まで、2020年10月現在情報)
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