ブッシュ大統領が暗殺された!? 映画でも現実でも、大統領から目が離せない!
(2008年2月12日号より)
アメリカの大統領は、映画の中でも“目が離せない存在”だ。
たとえば戦闘機に乗ってUFOと闘ったり(『インデペンデンス・デイ』)、ハイジャック犯のテロリストをやっつけたり(『エアフォース・ワン』)、はたまた火星人に襲来され無残に殺されたり(『マーズ・アタック!』)、かと思えばベッドで愛人に暴力をふるったり(『目撃』)と、フィクションだろうと、話題に事欠かない。
最近は某ドキュメントで、現役の大統領がコキ下ろされたりもしていたが、そのブッシュ氏、ついに実名のまま殺されてしまった! これは事件当日の関係者の証言まで作り込んだフェイク・ドキュメンタリーである。
時は2007年10月19日、アメリカ中部時間20時13分。シカゴで演説を終え、ホテルの外で人々と握手を交わした直後、大統領に向けて2発の銃弾が。アーカイブ映像に合成を施したものだが、“その瞬間”はかなりリアルだ。
映画の狙いとしては、大統領が暗殺された場合のアメリカ政府の動きをシミュレート、メディアと結託し、暴走していくさまに焦点を当てているのだが、ユーモア皆無のマジ過ぎる姿勢が裏目に出て、意外にもブッシュへの憐憫の情が強まってしまうかもしれない。
ちなみに次期大統領選のため、奮闘中の民主党候補ヒラリー・クリントン女史は本作について「卑劣で言語同断な映画。こんな恐ろしい話で利益を得ようとしている人に、うんざりします」とコメント。でもアメリカの大統領になるってことは、現実でも映画の中でも、「こんなふうに殺されかねない」と、覚悟しなくてはならないのだ。
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アメリカ合衆国第43代大統領ジョージ・W・ブッシュの暗殺事件を仮想したラジカルなドキュメンタリー。作品への賛否両論が巻き起こる中、トロント国際映画祭では国際批評家賞を受賞。全米では当初500館以上の劇場で公開予定だったが、圧力により91館での限定公開となった。世界各国で物議をかもした問題作。
[週刊SPA!掲載]
●監督:ガブリエル・レンジ●出演:ディック・チェイニー、ジョージ・W・ブッシュ、他●2006年●イギリス
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