読む映画リバイバル『肉の標的 奪う』

再検!日活ロマンポルノ

人生とはすなわちハエハエカカカザッパッパ

(1999年1月号より)

 こないだ古本屋でこんなのを見つけた。「ロック・スターの女たち」(音楽之友社)。タイトルのごとく、ストーンズのブライアン・ジョーンズに始まり、ジミ・ヘンドリックス、スモーキー・ロビンソン、フランク・ザッパ、ジム・モリソン、ブライアン・ウィルソンなどなど、錚々たるミュージシャンの妻&ガールフレンドにインタビューを試み、その人生をあぶりだした、なかなか興味深い1冊だ。

 初版は1987年。著者の女性音楽ライター、ヴィクトリア・バルファアは、「ニューヨーク・タイムス」「エスクァイア」「ローリング・ストーン」誌で活躍。ちなみに翻訳者の吉田真弓は、あのピーター・バラカンの奥さんね。

 ところでこんな長い前置きを書いちまって、どう収拾つける気なんだよ俺? うーん、今回の『肉の標的 奪う!』も、「ロック・スターの女たち」みたいに“いい”エピソード満載の映画なんスよね、とだけ言って、構わず暴走を続けよう。

 結婚式の前日、夫となるデイヴィッド・ボウイと、共通の女友達を加えて3Pをしたアンジー・ボウイことメアリー・アンジェラ・バーネット(のちにドラッグに溺れ、二度自殺未遂を起こして離婚)。ブライアン・ジョーンズとつきあい、その暴力に疲れ果て、キース・リチャーズのもとへと走り、名曲「ホンキー・トンク・ウィメン」「無情の世界」と、三児(ひとりは生後数ヶ月で死亡)を残したアニタ・パレンバーグ(麻薬所持で何度か逮捕されて離婚)。トッド・ラングレンにロッド・スチュワート、エルヴィス・コステロにスティヴ・ベイターズ……と浮名を流しまくりの元プレイメイト、ベベ・ビュエル。

 ま、紹介してもキリないか。

 でもこれを読むと、『肉の標的 奪う!』のデタラメな展開にも、そう驚かなくなるから現実はスゴイ。いやあ、こっちもこっちで確かに“いい”エピソード満載なんですよ。酒癖の悪いサラリーマンが酔って会社の専務を殴り、クビの代わりに“飼い殺し”を言い渡される。そこで自暴自棄になって、同僚の婚約者の女子社員の部屋に押し入り、無理やりズッコンバッコン。さらには専務の秘書兼愛人にもズコズコズコバッコン。で、レイプばっかしてんのに、男は最後には出世しちゃうというインド映画もビックリの結末。

 ここまで来ると、ロックとコックさえ良けりゃこの世はOK、つうのはつくづく男の幻想と逆に思い知らされるのね。あっ、この『肉の標的 奪う!』の音楽はクリエーション。フェミニストも濡れるカッコ良さです(←最後まで暴走!)。

[月刊ビデオボーイ掲載]
●監督:澤田幸弘●出演:鹿沼えり、志麻いづみ、他●1979年●日本