読む映画リバイバル『ア ダーティ シェイム US公開バージョン』

悪趣味監督ジョン・ウォーターズの新作がDVDスルー。映画で味わう“顔射”される気分

(2008年6月24日号より)

 ビックリした。“顔射”をかまされちまったのだ。いったい誰に? 映画にだ! ハイ、ここまで読んで、「よく分かんないけど気になるなあ」と思った特異な方、今すぐこの『ア ダーティ シェイム』を観ていただきたい。

 悪趣味(バッド・テイスト)映画の帝王、ジョン・ウォーターズがいろいろ“おもてなし”してくれますヨ。「お下劣人間世界一」の称号を奇人変人たちが競い合う、あの『ピンク・フラミンゴ』の監督として知られ、昨年リメイクされた『ヘアスプレー』も、オリジナルは彼のもの。リメイク版では、露出狂の役でカメオ出演していた。

 自らの故郷であるアメリカ東海岸ボルティモアを舞台に、謎のセックス教団と良識派との“街を二分する闘い”を描いた『ア ダーティ シェイム』。2004年の変態映画だが、日本では劇場未公開のまま、DVDスルーになった。「セックスしまくれ!」と煽る教祖役は、『ジャッカス』のジョニー・ノックスヴィル。待望のウォーターズの新作『Fruitcake』でもタッグを組んでいる。

 とにかく爽快なまでにくだらないお話で、果てしのない乱痴気騒ぎが続くのだが、ポルノではなく陽気で能天気な「アメリカン・コメディの伝統芸」で勝負しているところがミソ。そして『ピンク・フラミンゴ』のトレーラー一家を筆頭に、ウォーターズは多様な形のファミリーに光を当てる、「裏アメリカを代表する」映画作家でもある。還暦を越えても衰えぬバイタリティ。あっと驚く教祖の昇天シーン。さあ、映画に“顔射”される気分を味わってみてはいかが?

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おカタい主婦シルビア(トレイシー・ウルマン)は、豊胸手術で超巨乳ストリッパーになった娘(セルマ・ブレア)のことを苦々しく思う日々。ところが車道で頭をぶつけた途端、シルビアは突如淫乱に。街では“セックス革命”が進行中! トイレのドアに「WRITTEN AND DERECTED BY JOHN WATERS(“男性便所の水”の意味)」とクレジットするなど洒落っ気も満載。

[週刊SPA!掲載]
●監督:ジョン・ウォーターズ●出演:トレイシー・ウルマン、ジョニー・ノックスヴィル、セルマ・ブレア、他●2004年●アメリカ