読む映画リバイバル『団地妻・昼下りの情事』

再検!日活ロマンポルノ

日活ロマンポルノ生誕30周年は、来年なのダ

(2001年1月号より)

 トンネルを抜けると、そこは断崖だった。男と女は、車の中で裸になっていた。

 これですべては決まった!

 1971年11月20日にスタート。記念すべき日活ロマンポルノの第一作として映画史に残る『団地妻・昼下りの情事』のラストシーンである。

 公開時の宣伝速報には、こんなキャッチが刷りこまれている。
「あら! 可愛いコケシ……」
「うふふ……型といい、手触りといい、アレにそっくりでしょ」

 女盛りをもて余す団地妻の激しい性のもだえを痛烈に描く!!

 うふふ……ヨイですねぇ〜。

 倦怠期。ワーカホリックの夫に満たされない主婦が、ふとした浮気がもとでコールガール組織にハマってしまうというお話。

 これは、起死回生の経営転換に出た日活の新路線“ロマンポルノ”の大バクチであった。もしここで失敗すれば、すべては水泡に帰してしまうほどの崖っぷち……。

 ところがフタをあけてみると、当時の金額で興収1億円! 超特大ヒットである。土俵ぎわで大逆転。“団地妻”は流行語となり、シリーズ化もされ、新路線“ロマンポルノ”は順調な船出を飾った。

 救世主は白川和子。200本以上のピンク映画で鳴らし、この『団地妻・昼下りの情事』で日活に引き抜かれた彼女の魅力に、男は全員、上半身も下半身もスタンディング・オベーションを捧げた。

 思えば、冒頭に掲げたラストシーンは、誕生したばかりのロマンポルノの“映画宣言”のようなものだったのかも知れぬ。

 そう。ついにすべてが夫にバレてしまい、なじみの男と、破れかぶれの旅路に出る団地妻。車を運転する男に、助手席の彼女はフェラチオで奉仕をしている。

 そしてトンネルを抜けると、そこは断崖だった。男と女は突然、車の中で裸になっていた――この、ロマンポルノ的ダイナミズム! 絶頂に至った男は女もろとも車ごと断崖から落ちて(堕ちて)いき、映画はダイビング・エクスタシーとともに終わる。なるほど、二人はトンネルを抜け、崖っぷちから飛翔した、日活ロマンポルノそのものであったのだ。

 だがもうひとり、この映画に出ていて、飛ぼうとした者がいる。『野良猫ロック』シリーズなど、日活ニューアクションでイイ味を出してた前野霜一郎。彼は76年3月23日、ロッキード事件の黒幕にして右翼の大物・児玉誉士夫邸へ、撮影のためチャーターしたセスナ機で突入し、自爆テロ死したのだ!

 それもまた、思えばのちの日活ロマンポルノの苦難の歴史を象徴するかのような、ダイブであった。

[ビデオデータ掲載]
●監督:西村昭五郎●出演:白川和子、南条マキ、浜口竜哉、他●1971年●日本