読む映画リバイバル『くノ一忍法 卍がらみ』

再検!日活ロマンポルノ

野呂圭介もどっきりの元祖くノ一忍法ポルノ

(1997年9月号より)

 伝家の宝刀とでもいうのか、それを出されただけで全てが丸く収まってしまう、水戸黄門の印籠にも匹敵するスゴい小道具がかつてあった。

『どっきりカメラ』の看板である。

 赤いヘルメットをかぶり、それを持った仕掛人の野呂圭佑が、
「どうもォ、どっきり、でェーす!」
 と登場するや、全てが「めでたしめでたし」となってしまうゲームの規則。手の込んだ罠でダマした側もダマされた側も、それからお茶の間の視聴者も、みんながみんな、条件反射的に「ワハハ」と笑ってコトを済ませる大団円。『どっきりカメラ』と書かれた看板は、目の前の“オーマイガッ”な状況を一瞬にして消しさる、魔法の杖のひと振りであった。

 さて、この『くノ一忍法 百花卍がらみ』。観ている間、俺を何度も野呂圭佑が襲った。といっても俺の心の中に住む野呂圭佑だが。そいつが映画のアンビリーバブルな展開に、いちいち「どっきり!」とツッコむツッコむ。それくらい馬鹿馬鹿しさに満ちた作品であるのだ、コレは。

 とにかく元祖『くノ一忍法帖』と呼ぶべき逸品である。主演宮下順子をはじめ片桐夕子、梢ひとみ、山科ゆり、叶今日子、大山節子といった初期日活ロマンポルノのスターたちがくノ一に扮し、秘所からシャボンを出して敵を幻惑させるわ、とり餅のような白濁汁で石膏を造り、相手の顔タクをとってそれに化けてしまうわ、ご存知“具合わせ”で胎児を腹から腹へと移してしまうわ、精を吸いつくし、男を昏睡に陥れるはと淫術の数々が炸裂! これでもかあこれでもかあと伊賀VS風魔の忍者“性技”合戦を披露したり、もうあまりの荒唐無稽さに、思わず座りションベンしたくなる。そのたびに俺の心の中には「どっきり!』野呂圭介の登場と相成るわえである。

『どっきりカメラ』といえば最近、Kinki kids司会(しかしなぜ彼らなのだ?)による『スターどっきり大作戦』(CX系)も開始したが、やはり何事も元祖が偉い! ラスト、宮下順子の腹から出てくる(つうか飛び出す)胎児の姿に貴方も「どっきり!」して下さい。以上。

[ビデオボーイ掲載」
●監督:曽根中生●出演:宮下順子、片桐夕子、梢ひとみ、他●1974年●日本