かつて、一大帝国を築き上げた男たちがいた!ドキュメンタリー映画『キャノンフィルムズ爆走風雲録』

スポンサーリンク
Photo by Lloyd Dirks on Unsplash
館理人
館理人

ヘエー!な痛快ドキュメンタリー!『キャノンフィルムズ爆走風雲録』(2014年)の紹介です。

館理人
館理人

レビューをどうぞ!

スポンサーリンク

ハリウッドを席巻したイスラエル人コンビの映画バカ一代記

原題は『The Go-Go Boys』。そのネーミングさながらイケイケの勢いで『燃えよNINJYA』『ブレイクダンス』『地獄のヒーロー』など低予算映画で1980年代ハリウッドを席巻したコンビの“映画バカ一代”記である。

館理人
館理人

『燃えよNINJYA』はアクション俳優ショー・コスギの出世作にもなりました。映画のヒットにより1980年代のニンジャブームのきっかけに。

館理人
館理人

『ブレイクダンス』はダンスシーン満載の青春映画です。

館理人
館理人

チャック・ノリスの出世作『地獄のヒーロー』は、ベトナム戦争下の捕虜の救出劇。大ヒットしました。

本作完成後の2014年にメナヘム・ゴーランがこの世を去ったことを知ると、いっそう味わいが増す。

監督したのは同じイスラエル人、ピーボディ賞受賞、エミー賞に3度ノミネートされたヒラ・メダリア。

   ・   ・   ・

 かつて、イスラエル映画界からハリウッドへと殴り込み、一大帝国を築き上げた男たちがいた!

 その名はメナヘム・ゴーランとヨーラム・グローバス。いとこ同士である2人の“山あり谷あり”の劇画チックなヒストリーを振り返ったドキュメンタリーが、この『キャノンフィルムズ爆走風雲録』だ。

 1979年、イスラエルで名実ともに成功を収めた2人は、アメリカのインディペンデント映画会社「キャノン」を買収、1980年代に入るとメジャースタジオを蹴散らしてハリウッドで怒濤の快進撃を続けてゆく。

 低予算で愛すべきエクスプロイテーション(キワモノ)映画を量産し、何でもありのジャンルムービーは、ボンクラどもを狂喜させた。

 例えば劇中には、こんな証言が――。

「キャノンといえば銃撃戦に、美女にヌード、バイオレンス。つまりは“ヤバイ映画”の代名詞。当時はまだネット環境ではないから映画が情報源だった。教わったのは忍者とチャック・ノリスとチャールズ・ブロンソンとブレイクダンス」(byイーライ・ロス)

館理人
館理人

チャールズ・ブロンソンのキャノン映画に『スーパー・マグナム』など。

 ジャン=クロード・ヴァン・ダムを見いだしたのも彼らで、思えば『エクスペンダブルズ』シリーズの何人かの肉体派ヒーローは過去、ここの恩恵に預かっている(スタローンも然り!)。

 その一方で、天下のゴダールやジョン・カサヴェテス、ロバート・アルトマンといった世界的な映画作家たちにも出資。単なる商売人ではないのだ。

館理人
館理人

ジョン・カサベテスの監督作品に、『こわれゆく女』など。

館理人
館理人

ロバート・アルトマン監督についてのドキュメンタリー映画あります。『ロバート・アルトマン ハリウッドに最も嫌われ、そして愛された男』

 面白いのは、メナヘム・ゴーランは自ら監督も手がけるクリエイター、ヨーラム・グローバスは資金調達&作品をセールスする係と、役割分担が明確だった点。

 つまり最強のタッグを組んでいたのだ。

 ところがこのドキュメンタリーでは別々にインタビューに応じている。1980年代末の実質的なキャノン倒産の際に、コンビは決裂をしていた。

 が、最後にはなんと2人は肩を並べることに! それを実現しただけでも本作は、大いに讃えられるべきである。

轟

週刊SPA!2016年4月12日掲載記事を改訂!