『直撃地獄拳 大逆転』(1974年)は『直撃!地獄拳』の続編! 監督は石井輝男。
レビューをどうぞ!
下ネタと幼児的ギャグの連発で爆発的にくだらない!
6億円の宝石“ファラオの星”が盗まれた。
甲賀忍法の達人、金庫破りのプロ、元刑事の3人組は宝石を取り戻すべく、マフィア組織に立ち向かう……が、失敗失敗また失敗のドタバタアクション!
丹波哲郎、山城新伍、志穂美悦子ら助演陣も豪華。ラストシーンでは、石井輝男監督の最大のヒット作『網走番外地』のパロディを、監督自らの手で披露。
『網走番外地』は高倉健主演の大ヒットシリーズ映画!
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人間、時にはトコトン追い詰められて、激しく落ち込み、死にたくなることもあるもんだ。
さて、この『直撃地獄拳 大逆転』は、そういう緊急時にこそ処方されるべき映画だ。実際、筆者も久々に観たら救われた。心の中が、軽くなった。
公開は1974年。当時の『燃えよドラゴン』ブームを受けて作られた和製空手映画の怪作である。
『燃えよドラゴン』はブルース・リー主演のカンフーアクション映画。
甲賀忍法の使い手(千葉真一)、金庫破りのプロ(郷 鍈治)、元刑事(佐藤允)の三バカチームがドタバタと珍ミッションを遂行していくのだが、下ネタと幼児的ギャグの連発で本当にくだらない。
しかし、そのくだらないことを意気揚々と、清々しくやってのける3人は本当に大人でカッコいい!
それは、キング・オブ・カルトの称号を持つ監督にも言える。インタビュー集『石井輝男映画魂』をひも解いてみよう。
『直撃!地獄拳』の続編を依頼されて「一本やってお腹いっぱいだったから、もう依頼が来ないようにって思いきり……(笑)」。
徹底したデタラメ演出は、すべて確信犯だったのだ!
千葉ちゃん(千葉真一)の地獄拳を食らう悪党どもの末路を見よ。安岡力也の目ん玉はボヨーンと飛び出し、名和宏の首はグルリと一周、ポロリンと内臓をえぐり出される。
結局、千葉ちゃんの華麗なるアクションもギャグに変えてしまった。こういうハチャメチャでアナーキーな映画が大手で作られ、堂々と公開されていたという事実。
現在の日本映画界に望むのはムリなのか……と考えるのはよそう。
とにかく観れば悩んでいるのがバカバカしくなる、効果テキメンの滋養強壮映画である。
週刊SPA!2007年10月30日号掲載記事を改訂!
石井輝男監督作、こちらもあります。