『座頭市物語』(1962年)は、勝新太郎主演の映画です。以後シリーズ化、26作品が公開されました。
テレビドラマシリーズは、映画の後でした。勝新太郎主演で、1974年にスタート。製作は勝プロダクションです。
『座頭市』は、今も愛されて続けているシリーズのひとつ。古さなんか感じさせない面白さ。
シリーズについては、詳しく解説したレビューがあります。ご参照ください。
『座頭市』のレビューはあまたありますが、ここでは敵キャラから観る『座頭市』を轟の復刻原稿でお届けです。敵キャラが素晴らしいと映画は面白い!『座頭市』の敵キャラ、イイですよ!
表ベスト
アベンジャーズ的キャラコラボ『座頭市と用心棒』ほか、王道ならこのキャラとこのタイトル、ベスト6
『座頭市』シリーズのベスト敵キャラ5選となれば、まずはこの2つのキャラは誰が選んでも確実にインするだろう。
丸木橋での一瞬の勝負。
「見事だ。つまらん奴の手にかかるより責公に斬られたかった」
の名ゼリフを残す『座頭市物語』の平手造酒(天知茂)。
『座頭市物語』の監督は三隅研次。映画の『子連れ狼』シリーズや、テレビドラマでは『必殺』シリーズなどを演出してます。
そして、殺陣師なしでのガチンコ対決を繰り広げた『座頭市血煙り街道』の謎の侍、実は公儀隠密の赤塚多十郎(近衛十四郎)。
こちら『座頭市血煙り街道』も三隅研次監督作です。
あるいは、馬に乗って鞭でビシビシと市ッつあんを叩き、地面を引きずり回したあげく、落馬して首を打つシーンが衝撃的な『座頭市千両首』の仙場十四郎(城健三朗=若山富三郎)も。
若山富三郎は勝新太郎の実兄ですヨ
互いに心魅かれて道中を共にするも、歩きながら棋譜を頭に浮かべ、王手をかけた瞬間、雌雄を決することになる『座頭市地嶽旅』の十文字糺(成田三樹夫)もたいてい入るはず。
俳優・成田三樹夫については、こちらでご紹介しています。
あとは夢の対決2本、『座頭市と用心棒』の佐々大作(三船敏郎)。
『座頭市と用心棒』はすごいです、黒澤明映画『用心棒』の主役でスター三船敏郎が敵キャラという夢のコラボ、いわばアベンジャーズ!
座頭市シリーズでは最高の興行収入でした。
異種格闘技戦の『新座頭市 破れ!唐人剣』の王剛(ジミー・ウオング)のどちらにしようかと迷って・・・・・あっ、5選なのにもう6人になっちゃった。
ジミー・ウオングは香港のアクションスター!
まあ、こちらを表ベストの常連としとくなら、あまり触れられない敵キャラたちも一瞥しておきたい。
裏ベスト
三國連太郎に仲代達矢、森雅之、石橋蓮司、蟹江敬三・・・。役者揃いの裏キャラが立ってるタイトル、ベスト7
公開順に挙げると、まずは市ッつあんが最初に草鞋を脱いだセコい親分、最後には
「やくざぁな、御法度の裏街道を行く渡世だ、いわば天下の悪党だ」
と市に一喝されちゃう『座頭市物語』の飯岡助五郎(柳永ニ郎)。
また登場です、シリーズ第一作目、『座頭市物語』!
浪曲や講談でもお馴染みのこの侠客、『続・座頭市物語』ではついに市ッつあんに叩っ斬られてしまう。
監督は森一生。テレビドラマ版『座頭市』や『横溝正史』シリーズなんかも手がけてます。
『新・座頭市物語』の剣の師匠・伴野弥十郎(河津清三郎)や、『座頭市あばれ凧』での吃音のある竹屋の安五郎(遠藤辰雄、のちに太津朗)は、犬塚稔脚本ならではの屈折した人物造形が心に残る。
子分に蟹江敬三や石橋蓮司ら“勝新ファミリー”を従えた『座頭市御用旅』の親分・鉄五郎(三國連太郎)、その用心棒の居合の達人、相良伝十郎(高橋悦史)の見事な負けっぷりも称賛に値しよう。
『新座頭市物語 折れた杖』の小悪党・鍵屋萬五郎(小池朝雄)は、利き腕を潰されたジャンゴ、ではなくて、市ッつあんにどてっ腹刺し抜かれ、いまわの際に「かんべんしろって、言ってるじゃねえか・・・」の爆笑ゼリフ。
まさに小悪党の鑑、「言っ・てる・じゃ・ね・え・か・・・」と、未練たっぷりに声を出し、事切れていくのがさすが池朝雄イズム。
『座頭市あばれ火祭り』に登場する2人、名優・森雅之が演じた盲目の悪の将軍「闇公方」と、偏執狂的な浪人(仲代達矢)がまたどちらも異色キャラで、これも忘れ難い。
仲代は、阪本順治監督、香取慎吾主演の『座頭市 THE LAST』にも敵役で出ているので、いわば正統『座頭市』の因子を受け継ぐ者として注目。
他にも、大島渚映画とは一味違う、佐藤慶、戸浦六宏、小松方正の“創造社”メンバ一のやんちゃぶりなども挙げたかったのたが、残念ながらキリがない。
創造社は、大島渚監督(『戦場のメリークリスマス』など)が仲間と立ち上げた映画製作会社です。
とにもかくにもどの役も、ちゃ〜んとキャラが立っている『座頭市』シリーズ、面白いわけである。
映画秘宝2009年11月号掲載記事を改訂!
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ご紹介タイトルは一部を除きAmazonプライムビデオで取り扱いがあります。(2020年2月現在)