日活ロマンポルノおすすめ復刻コラム『タイム・アバンチュール 絶頂5秒前』

期間限定

Photo by HISANARI KUNIMOTO on Unsplash
館理人
館理人

こちらの映画レビューは、日活ロマンポルノのタイトルを紹介していく男性誌での連載コラム記事の復刻です。

館理人
館理人

その前にロマンポルノ解説を少々。

館理人
館理人

ロマンポルノは、R-18の映画で日活のレーベル。アダルトビデオとは別くくりの、年齢制限のある一般邦画として分類される映画です。

詳しくはこちらで紹介しています。

館理人
館理人

前置き以上!

あ、コンプライアンス意識皆無時代のコラムゆえ、所々のバカすぎる文面には要注意でお願いします。

データ

1986年
監督:滝田洋二郎
出演:田中こずえ、杉田かおり、若菜忍、木築沙絵子、野上祐二、佐藤恒治、荒木太郎、蛍雪次朗 脚本:高木功

猫が出るんです。ちゃんと「夏への扉」と同じように

(轟夕起夫)

Photo by Diego ph on Unsplash

 ウォン・カーウァイ監督が『欲望の翼』(1990年)を引っ提げ初来日したとき、取材の席で彼は、意外な日本映画について語ってくれた。滝田洋二郎監督の『木村家の人々』(1988年)。それは、アジア圏でも大ヒットした作品だったのだ。

『タイム・アバンチュール 絶頂5秒前』は、滝田洋二郎監督作です。滝田監督についての語りが始まるようです。

 滝田監督といえば、現在も『陰陽師』(2001年)や『壬生義士伝』(2003年)などのヒットメーカーとして知られるが、彼は助監督時代から、数々の逸話を持つツワモノであった。

ですね、始まりました。

滝田洋二郎監督はこのコラム執筆時の後、『おくりびと』(2008年)で、アメリカの第81回アカデミー賞外国語映画賞を受賞しちゃう、すごい人!

 山本晋也監督のあるピンク映画でのことだ。OLが暴行魔に襲われる場面。路上には彼女が手にしていた“おでん”が散らばる趣向。

 まず先にレイプシーンを終え、ブツ撮りに移ろうとしたところ、もはや時刻は夜半。用意してあった“おでん”はとうに冷めている。コンビニなどザラにはない時代だ。いかにして“おでん”から湯気を出すか。

 そこで助監督の滝田は任せろと言った。

さて滝田洋二郎監督、どんな映像マジックで湯気を出す!

 カメラが回った。

いよいよです!

 滝田はションベンをかけて湯気を出したのだ! しかもOKカットを確認して、こう言ってのけた。「NGが出たら困ると思って、半分残しておきました」。

…。

 そんな“奇跡を呼ぶ男”ならではの快作が、この『タイム・アバンチュール 絶頂5秒前』だ。

ションベンは奇跡じゃない…。

 ヒロイン(田中こずえ)は2001KHzから流れるラジオを聴きながら、オナニーのエクスタシー力で2001年にタイムスリップしてしまう。そこで未来の自分と出会うのだが、美容とダイエットに夢中で、しがない私立探偵の夫(蛍雪次朗)とはうまくいっていない。

 1986年のヒロインと2001年の夫との恋の行方は?

 脚本を手がけたのは名コンビ・高木功。これは実は、「夏への扉」のポルノ版なのだ。

 そう、山下達郎もこよなく愛し、同名曲があるあのロバート・A・ハインラインのSF傑作小説の(作詞家・松本隆先生も松田聖子の「夏の扉」でオマージュを捧げてました)。

 意のままに湯気を出し“時空のパラドックス”を超えた滝田マジック。のちに広末涼子主演の『秘密』(1999年)を撮ったのも、当然の成り行きだったのである。

『秘密』は東野圭吾の小説が原作。母娘が事故に遭い、母が死んだが、生き残った娘(広末涼子)の体に入ってたのは母の心だった・・っていうファンタジーですね。

異次元スケールの監督、ってことは分かりました!

月刊ビデオボーイ2003年6月号掲載コラムより!

館理人
館理人

『タイム・アバンチュール 絶頂5秒前』はU-NEXTでは見放題タイトルに入っています。(2021年7月2日まで、2020年10月現在情報)

館理人
館理人

ロマンポルノを鑑賞するためのサービスについて、関連記事はこちらです!