こちらの映画レビューは、日活ロマンポルノのタイトルを紹介していく男性誌での連載コラム記事の復刻です。
その前にロマンポルノ解説を少々。
ロマンポルノは、R-18の映画で日活のレーベル。アダルトビデオとは別くくりの、年齢制限のある一般邦画として分類される映画です。
詳しくはこちらで紹介しています。
前置き以上!
あ、コンプライアンス意識皆無時代のコラムゆえ、所々のバカすぎる文面には要注意でお願いします。
データ
1976年
監督:澤田幸弘
出演:梢ひとみ、宮井えりな、益富信孝、高橋明、牧れいか、庄司三郎、椎谷健治
脚本:佐治乾、斎藤信幸
探偵物語の監督作!松田優作の歌も聞こえてくる?
(轟夕起夫)
ラジオが好きだ。はっきり言ってテレビよりも。
カミングアウトですか。
はるか昔、あの野田秀樹がラジオ番組を持っていたとき、「お耳の恋人、野田秀樹です」という名フレーズを発していたものだが、まさにラジオとはお耳の恋人。
演出家・劇作家の野田秀樹さん、最近では2018年にパリの国立シャイヨー劇場で「贋作・桜の森の満開の下」を公演したりされてました。
今回は、そんなラジオ好きの俺にとってグっとくるロマンポルノを紹介するとしよう。
冒頭、閑静な別荘地。管理人の男(益富信孝)は備えつけのスナックの店主でもある。ラジオからは因幡晃の「わかってください」。それを真鍋理一郎のグルーヴィーな名曲が遮って題名が出る。『暴行!』。
日活ニューアクションで鳴らした澤田幸弘監督の作品だ。
「わかってください」はシンガーソングライター・因幡晃さんのデビュー曲。
真鍋理一郎さんは映画音楽を多く手がけた作曲家。
澤田幸弘監督は日活ニューアクションでは『斬り込み』『反逆のメロディー』(1970年)など、テレビドラマでは「大都会」「西部警察」シリーズほか!
スナックに突如、男を棄てたはずの妻(梢ひとみ)が戻ってくる。男は黙って許し、妻を抱く。だが彼女は逃走中の暴力団と関わりを持っており、スナックはたちまちそのヤバい奴らの籠城の場に。
監禁され、何度も屈辱を味わった男はついに反撃に転じ、皆殺しにする。愛する妻以外は。なのに銃を向ける妻。男は犯す。BGMは、ラジオから流れてくる山崎ハコの「綱渡り」。
シンガーソングライターの山崎ハコさん、ラジオのオールナイトニッポン火曜2部を持っていたことも!
曲が終わるとDJが「朝方近くに聴くのもいいですねえ」なんて呑気に語り始め、実は25時間ノンストップ・ディスクジョッキーに挑戦中であったとラジオの声は言う。
「いよいよ最後の曲を紹介することになりました。え〜、山崎ハコのファンでもあり、彼女の曲をよく、普段口ずさんでいる俳優、役者の松田優作さんの歌を最後に聴いてもらいたいと思います。その曲は「ある子供の話」。
こちら、「ある子供の話」収録のアルバム「まつりうた」。
言うまでもなく優作は、澤田監督の『あばよダチ公』(1974年)で初主演。『レイプハンター 狙われた女』(1980年)にもゲスト出演した仲だが、それにしても優作が山崎ハコのファンで、彼女の曲をよく口ずさんでいたとは!
脚本は佐治乾(と斉藤信幸)だから本当なのだろう。『探偵物語』の第7話「裏街の女」も澤田監督と佐治乾のコンビ作だ。
松田優作さんの記事は、こちらにあります!
おっと、映画の続きである。妻の「人殺し」の一言にキレて、男が壷を彼女の頭に落とし、そこにDJの「どうもお付き合い有り難うございました」の声が。外へ出た男は結婚指輪を石で叩き割り、再び真鍋理一郎の音楽で劇終。
カッ、カッコいいぜ!
ところで1971年、ミスターDJ・糸居五郎が50才の誕生日=1月17日に「50時間マラソン・ジョッキー」というのをやっている。「僕のDJグラフィティ」(第三文明社)には1曲目に「タッチ・ミー」をかけたとある。
「タッチ・ミー」はドアーズの曲!
それから二昼夜にわたり800曲以上。しかしラストの曲については記されてはおらず。一体、何をかけたのだろうか?
ラジオ愛に押されて…『暴行!』を聞きたくなりました。ところでストーリーは?。
ビデオボーイ2002年6月号掲載コラムより!
ストーリー…。
澤田監督の、ほかの日活ロマンポルノ作について、こちらもあります!
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