こちらの映画レビューは、日活ロマンポルノのタイトルを紹介していく男性誌での連載コラム記事の復刻です。
その前にロマンポルノ解説を少々。
ロマンポルノは、R-18の映画で日活のレーベル。アダルトビデオとは別くくりの、年齢制限のある一般邦画として分類される映画です。
詳しくはこちらで紹介しています。
前置き以上!
あ、コンプライアンス意識皆無時代のコラムゆえ、所々のバカすぎる文面には要注意でお願いします。
データ
1981年
監督:小沼勝
出演:風間舞子、高原リカ、梓ようこ、東龍明、益富信孝、影山英俊、広瀬優、珠瑠美(特別出演)、小川亜佐美 、ほか 脚本:宮下教雄
この映画自体も不条理な展開がビックリです
(轟夕起夫)
世の中というものが不条理な、「何でそーなるの!」的な出来事の連続であることは今さら言うまでもない。
「何でそーなるの!」は萩本欽一さんの決め言葉。いかりや長介さんの「だめだこりゃ」と双璧!
が、それにしても最近、「腹が減ったので鼻の穴に浣腸した」式の、一段と理解不可能な事件が多くなった。もちろん被害にあった当事者の心中は、「何でそーなるの!」どころでは収まらないわけだが、一方野次馬な我々はといえば、好奇と一抹の不安の目で事態の推移を眺めたりしている。
お笑いの神、萩本欽一さんは下ネタをやりません! が、アニメの吹き替えはやってます。
『ウォレスとグルミット』シリーズのウォレス(犬の飼い主)役。シリーズ初の長編劇場映画『野菜畑で大ピンチ!』(2005年)ももちろん!
余談でした。
で、出来ることなら「何でそーなるの!」の「何で」の部分を探ってみようともする……のだけれども、納得のいく理由などそう簡単に見つかるはずもなく、不気味な「何でそーなるの!」感ばかりが心の底に沈殿してゆく。
余談はこのへんで…
そうして「明日はわが身?」とおののき、しまいには人間の“心の闇”とやらを我々に考えさせるべく犯人は事件を起こしたような気さえしてくる。つまり犯人の代わりに、その理不尽な行為と釣り合うだけの理由を探さねばならなくなるのだ。
もう余談は…。ダークサイドに向かっています。修正を!
そういえば欽ちゃんの他、人気アニメの主役の吹き替えを、人気お笑い芸人が担当している例、けっこうありますね。
『モンスターズ・インク』(2001年)のマイク役は爆笑問題の田中裕二さん、サリー役は石ちゃんことホンジャマカ石塚英彦さん。
これは本末転倒だろう。無理だし、とても不健康な話であるーーてなわけで、ここでようやく本作の登場と相成る!
こちらは余談が止まらなくなりました。『シュレック』(2001年)のシュレック役はダウンタウンの浜田雅功さん。
ヒロイン(風間舞子)は、夫の留守中家に押し入られ、見知らぬ男に犯される。男は「恨むならダンナを恨みな」と言い残して去っていった。すると次の日その男はカミさんとともに現れ、一緒についてくれば「犯した理由を話す」と家に招く。そこは二人が経営する葬儀屋だった。
『ファインディング・ニモ』(2003年)ではニモのお父さんに、トンネルズ木梨憲武さん。
ついに葬儀屋夫婦の、“リベンジの真相”が明かされるときがやってきたのだ。
「夫婦交換ってご存じ?」とカミさんが口火を切り、続いて男がブチ切れる。
「汚ねえじゃねえか! オレにだけ女房を提供さしといて、あんたのダンナは女房じゃなく、安っぽい浮気の相手連れてきやがった! これが許せるかよ!」
なるほど、ヒロインの夫は妻と偽って、他の女をスワッピングの席に連れていったのだ。こりゃ怒るわな。
『トイ・ストーリー』(1995年)のバズ役、所ジョージさん。2019年の『トイ・ストーリー4』でも変わらず担当してます。
が、ヒロインは抗弁する。
「でも……私とは関係ない……」
うん、これも正論である。
だが男はすかざずこう言い放つのだ。
「ダンナのルール違反は奥さんに償ってもらわなきゃな!」
『シング/SING』(2016年)では、劇場支配人役にウッチャンナンチャンの内村光良さん。
決定打だ。無茶苦茶な理論ゆえに反論はもはや無効。再び辱められ、家に戻ってケツから流れる血にさめざめと泣くヒロイン。
で、結論――。理不尽な事件を起こした者の動機など探ってもムダ。トンでもない原因と結果の因果関係が成立するだけだ。だから決して本気で「何でそーなるの!」とは考えてはいけない。それもまた世の不条理、各自、呪殺すべし。
あ、終わりましたか、ではこちらも結論。
不条理に堕ちそうになったら、吹き替えアニメのテもある!
ビデオボーイ2000年4月号掲載コラムより!
『あそばれる女』はU-NEXTでは見放題タイトルに入っています。(2021年7月2日まで、2020年10月現在情報)
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