こちらの映画レビューは、日活ロマンポルノのタイトルを紹介していく男性誌での連載コラム記事の復刻です。
その前にロマンポルノ解説を少々。
ロマンポルノは、R-18の映画で日活のレーベル。アダルトビデオとは別くくりの、年齢制限のある一般邦画として分類される映画です。
詳しくはこちらで紹介しています。
前置き以上!
あ、コンプライアンス意識皆無時代のコラムゆえ、所々のバカすぎる文面には要注意でお願いします。
データ
監督:神代辰巳
脚本:荒井晴彦、神代辰巳 音楽:(選曲)小野寺修
出演:角ゆり子、中村れい子(新人)、太田あや子、いずみ由香、安岡力也、高山千草、中平哲仟、高瀬将嗣、岩手太郎、村上元一、大山清、ジャンボ杉田、神藤一弘、斉藤美穂、白鳥あかね、技斗=高瀬将嗣、アナーキー、大木啓造×トルーマン・カポーティーロックンロールバンド、石橋蓮司、高橋明、絵沢萠子、珠瑠美(特別出演)、黒田征太郎(特別出演)、内田裕也
シェケナベイビー内田裕也が伝説な理由
ずいぶん前に一人のフェラチオ女が話題になったことがある。
いきなりコンプラ案件ですが…。
1977年、横浜で行われた2ライブ・クルーのライブで、ステージに引き上げられた女がいきなりメンバーのパンツを下ろし、なんと観客の前でおフェラをしたというあれだ(『クイック・ジャパン創刊準備号』)。
クイック・ジャパン、息が長いですね。今も続くカルチャー誌!現在は記事がウエブでも読めます!
これを読んで、すぐに思い出したのがオールナイトで観たこのロマンポルノだった。神代辰巳の『嗚呼!おんなたち 猥歌』。
ロックスターの内田裕也はライブ 中、会場最前列の女の髪をひっぱり、自分の股間に顔をあてがい、いきなりイチモツをくわえさせるのである。腰をグラインドする裕也。熱狂する観客。女を放 した裕也は興にのり、オナニー・パフォーマンスへと突入してゆく!
そうです、内田裕也さんがまんまロックスター役で出演です。
俳優業も光ってた内田裕也さん、あの『戦場のメリークリスマス』(1983年)にも出演しています。
そしてステージが終わり、マネージャーの安岡力也(ゲゲッ、濃すぎるよ、このコンビ)はこう言うのだ。
「おつかれさまでした。ジム・モリソンまっ青のズリセンでしたぜ!」
ジム・モリソンはロックバンド、ドアーズのボーカル。コンサートのステージでズボンを下げて自慰行為したって罪で逮捕されてます。
ジム・モリソンの半生をヴァル・キルマーが演じた映画『ドアーズ』(1991年)てのもあります。
安岡力也さんはその強面で迫力ある役柄が多かったのですが、逆に強面をバラエティでいじられる愛されキャラ。出演作は『いつかギラギラする日』(1992年)などなど。
まさにロケンロール・パンク期における、内田裕也ならではの、胸のすくよな暴走ぶり。オールナイトの客席中が、大爆笑で包まれたもんだ。
2人の女をメロメロにし、さらに力也の女にまで手を出して、道行く人々に通り魔パンチくらわすロケンロール裕也。俺は腹をかかえ、客席もますますヒートアップしていった。
パフォーマーですね〜、内田裕也さん。
だが、その笑いが最後、ホストへと転落し、中年女の相手をする裕也にまで浴びせられた時、「テメエら、それは違うだろ」と心の中でつぶやいていた。
著書もあります。
中年女の カラダを丁重に洗い、腰を振って、ひたすら奉仕をするしがないホスト裕也。バックには萩原健一&沢田研二の唄う「ローリング・オン・ザ・ロード」が流れている。
おい、ここは泣きどころだろ!
裕也の顔。腰を振り、果てるしか能のない、どうしようもない生き物の栄光を、その顔はシカと刻んでいた。嗚呼〜。
「ローリング・オン・ザ・ロード」はサヨナラ日劇ウエスタン・カーニバル のライブ音源。内田裕也さんの遺作となった出演映画は『星屑兄弟の新たな伝説』(2018年)です。
ビデオボーイ1997年4月号掲載コラムより
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