読む映画リバイバル『妻たちの性体験 夫の眼の前で、今…』

再検!日活ロマンポルノ

セックスは祭りだあい 祭りはセックスだあい

(2001年5月号より)

 すでにご存知の方も多いかも知れないが、これは改めて喜びを記しておきたい。

 小沼勝監督がやった! 先頃、第51回ベルリン国際映画祭に『NAGISA-なぎさ-』を出品したところ、“キンダーフィルム”部門で見事グランプリを受賞。いやあ、これが喜ばずにいられようかってんだ!

 “キンダーフィルム”というのは、読んで字のごとく「児童映画」のこと。当映画祭には1978年より設けられた由緒正しい部門である。『NAGISA-なぎさ-』は、小沼監督がロマンポルノ終焉以来12年ぶりにスクリーンに復帰した、しかも初の一般映画。今回は候補作200本の中から選ばれての堂々のグランプリであった。

 ところで、ここでちょいとイイ話をひとつ――。ベルリン映画祭といえば、昨年『独立少年合唱団』を出品して、アルフレート・バウアー賞(新人監督賞)を獲得した緒方明監督。このお方、若かりし時分、小沼作品に出たことがあるという。

 それが『妻たちの性体験 夫の眼の前で、今…』である。もはや映画史上空前の大乱交シーンとして、世界遺産に数えられる悶絶クライマックス。野獣と化した男ども十数人が、ヒロイン(風祭ゆき)に襲いかかり、「ワッショイワッショイ」と全員でヤリまくっちゃうセックス祭り。緒方氏はつまり、この別名「風祭まつり」に当時アルバイトだかで駆り出され、男どものひとりとしてやはり「ワッショイワッショイ」と参加していたわけなのだ。

 ちなみに本作には、ヒロインとランニング中の男どもがスレ違い、互いにエロエロ光線を交わし合う、なだらかな坂道がたびたび登場するのだが、この印象的なロケーションを用意したのは助監督の中原俊弘、のちの中原俊である。くだんの坂道を探し出したとき、彼は風祭さんと早くも映画の成功を確信し合ったのだとか。なるほど、監督デビュー作『犯され志願』(1981年)に風祭さんが出演されているのも納得です。

 さて、イイ話づくしの本作にもひとつだけ謎が。それはタイトル。「妻たち」としっかり銘打ってはいるものの、妻役なんて風祭さんしか出て来ないのだ! けれども、ま、そんなことはどうでもいいか。

 ポルノからキンダーまで、何でもありの小沼監督の「映画力」の底知れぬ凄さのほうがよっぽど謎だ。『NAGISA-なぎさ-』は、4月に池袋の新文芸坐、吉祥寺のバウスシアター2などで凱旋公開される。キネマ旬報ベストテンで新人女優賞に輝いた松田まどかの溌剌(はつらつ)さ、可憐さを観逃していた方、ぜひぜひ足を運んでください。

[月刊ビデオボーイ掲載]
●監督:小沼勝●出演:風祭ゆき、高原リカ、他●1980年●日本