面白い!ミュージシャン音楽ドキュメンタリー映画の歴史、見所、おすすめと楽しみ方解説

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Photo by Hanny Naibaho on Unsplash
館理人
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『メイキング・オブ・モータウン』が公開中です。音楽レーベル、モータウンの創設者ベリー・ゴーディが振り返る創業一代期! 面白いです!!

館理人
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音楽ドキュメンタリーには名作が多いです! 素晴らしい音楽の数々だけではない、ウソみたいなホントウの話がドラマティックだから。

館理人
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名監督も撮っている音楽ドキュメンタリー、その歴史と楽しみ方、おすすめがわかるレビューを紹介です!

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驚愕のエピソード、振り幅すごすぎなドラマティック人生

(轟夕起夫)

 個性的な人物のドキュメンタリー映画には興味深いものが多いが、とりわけミュージシャンを被写体とすると、おもしろさが増す。

 その人生は振り幅が大きく、驚くべきエピソードに事欠かず、なにより新たな音楽が創られてゆく瞬間には時代と共振したドラマが起こっているからだ。

 だがかつては、アーティストのパフォーマンスにカメラを向けても内面にはあまり立ち入らなかった。貴重なライブを記録することが第一で、ナマで見られないファンのために別会場でフィルムコンサートが開かれた。極端に言えば音と映像があればよく、完成度は不問に付され「誰が撮ったか」など二の次だった。

 そんななか、やがて音楽ドキュメンタリーは一つの作品として評価されるようになる。例えば『真夏の夜のジャズ』(1959年)。1958年に開催された第5回ニューポート・ジャズ・フェスティバルのライブ映画だが、演奏だけでなく聴衆や現地の風景も含め、撮り手の審美眼によって一種の時代感を切り取っている。監督はマリリン・モンローの写真集などで有名なバート・スターン。フォトグラフィカルなカメラアイは、間違いなく作家のものであった。

 1950年代末から60年代、アメリカでは「撮影と共に録音をし、ナレーションは入れず、事実をありのままに伝える」ことを目指すダイレクト・シネマ、フランスでは「真実の映画」という意味のシネマ・ヴェリテ といった手法がドキュメンタリーの主流となり、その余波は誰もが知る二大アーティストをも飲み込んだ!

 ジャン=リュック・ゴダール監督の『ワン・プラス・ワン』(1968年)は、スタジオでレコーディング中のローリング・ストーンズを捉え、一方で革命運動に走っていたゴダール自身の過激な政治性を焼き付けて、両者が融合してまさに「1+1」以上の映画に。

 また、ストーンズやビートルズのプロモーション・フィルムを撮っていたマイケル・リンゼイ=ホッグ『レット・イット・ビー』(1970年)は、解散前のビートルズの生々しい姿と、4人の最後のライブ・パフォーマンスをおさめた。

 演奏中、会場で起きた殺人事件の混乱まで見つめ通した『ザ・ローリング・ストーンズ・イン・ギミー・シェルター』(1970年)の監督は、デヴィッド・メイズルスアルバート・メイズルスシャーロット・ズウェリン。このメイズルス兄弟はダイレクト・シネマの旗手でもあった。

 作家と言えば、この人の名を忘れてはいけない。第43回アカデミー賞長編ドキュメンタリー映画賞を獲得した『ウッドストック/愛と平和と音楽の三日間』 (1970年) に編集で参加していた若きマーティン・スコセッシ

 監督になっても、音楽ドキュメンタリーは彼のライフワークに。近年はスコセッシが得意とするように、ヒストリーを俯瞰しつつ、よりアーティストの内面にも寄った作品がスタンダードとなった。「1+1」をいくつに伸ばすか。それはいっそう、作り手の腕にかかっているのだ。

館理人
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マーティン・スコセッシは『タクシードライバー』『カジノ』『沈黙 -サイレンス-』などの監督です!

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おすすめ音楽(ミュージシャン)ドキュメンタリー8作品

AMY WINEHOUSE エイミー・ワインハウス

『AMY エイミー』(2016年)

11年に27歳の若さで急逝したイギリスが生んだ稀代の歌姫エイミー・ワインハウス。そのソウルフルな歌声で世界中を魅了した彼女の楽曲にまつわる制作秘話や、普通の女の子としての知られざる素顔などが初めて明かされる。各映画祭でも大きな話題となり、本年度アカデミー賞長編ドキュメンタリー賞を受賞した。

BOB DYLAN ボブ・ディラン

『ボブ・ディラン ノー・ディレクション・ホーム』(2005年)

音楽ドキュメンタリーの名手でもある巨匠マーティン・スコセッシが手掛けた、アメリカ音楽界の“生きる伝説”ボブ・ディラン初の自伝的作品。多才な顔を持つ彼が、10時間に及ぶ貴重なインタビューで自らの人生や音楽を語る。レア音源や未発表映像と共に彼の創作の本質を掘り下げた意欲作。

THE BEATLES ビートルズ

『ザ・ビートルズ EIGHT DAYS A WEEK』(2016年)

ビートルズの全盛期に始まった世界ツアーの様子と、4人が最後に観客の前で演奏した1966年のサンフランシスコ公演に至るまでの熱狂の舞台裏を、メンバーの肉声を交えて映しだす。集大成となった『ザ・ビートルズ・アンソロジー』(1995年) でも描かれなかった歴史的ビッグバンドの真実にロン・ハワード監督が迫る。

DAVID BOWIE デヴィッド・ボウイ

『デヴィッド・ボウイ/ジギー・スターダスト』(1973年)

突然の死が世界に衝撃を与えたロック歌手デヴィッド・ボウイが、1973年にロンドンで行った「ジギー・スターダスト」コンサートの模様を収録。彼の多様な表現スタイルの秘話が描かれた『デヴィッド・ボウイ・イズ』(2013年) も反響を呼んだ。

THE ROLLING STONES ローリング・ストーンズ

『ワン・プラス・ワン』(1968年)

ジャン=リュック・ゴダール監督が世界的ロックバンド、ローリング・ストーンズの若き日のレコーディング風景を収めた作品。革命運動の記録フィルムを重ね、不安定な時代背景を色濃く映す。ストーンズのライブは『ザ・ローリング・ストーンズ シャイン・ア・ライト』(2008年)など数多く映像化されている。

BRIAN WILSON ブライアン・ウィルソン

『ブライアン・ウィルソン ソングライター〜ザ・ビーチ・ボーイズの光と影〜』(2010年)

“サーフ・ロック”の先駆け、ザ・ビーチ・ボーイズを率いたブライアン・ウィルソン。1962年のデビュー以降、数々のヒット曲を生みだすもプレッシャーから精神を病んでいった彼の苦悩をたどる。その人生は『ラブ&マーシー 終わらないメロディー』(2015年)として映画化もされた。

THE WHO ザ・フー

『ザ・フー:アメイジング・ジャーニー』(2007年)

イギリスの伝説的ロック・バンド、ザ・フーの波乱に富んだ栄光の軌跡を本人たちの証言をもとに振り返る。先進的な音楽に挑む彼らは、メンバーの死を乗り越えて現在も活躍。デビュー50周年を記念したツアーを追った『THE WHO/ザ・フー LIVE IN HYDE PARK』(2015年)でも精力的な姿を見せてくれた。

【無名なアーティストに光を当てた名作】

バックコーラス

『バックコーラスの歌姫たち』(2013年)
『シュガーマン 奇跡に愛された男』(2012年)
『レッキング・クルー 伝説のミュージシャンたち』(2014年)

大物アーティストを支える“バックシンガー”にスポットを当てた『バックコーラスの歌姫たち』や、レコーディングでヒット曲に貢献してきたやり手のスタジオ・ミュージシャンを描いた『レッキング・クルー 伝説のミュージシャンたち』。2枚のアルバムを残して音楽シーンから姿を消し、突如、南アフリカ共和国で爆発的にヒットしたたミュージシャンを追う『シュガーマン 奇跡に愛された男』など。彼らの人生はどれも興味深く、名曲誕生の裏に隠された人々の熱いドラマが、音楽との向き合い方も変えてくれるだろう。

轟

ティー2016年春号掲載記事を改訂!

館理人
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