米国の迷走感溢れる、“呪われし”カルトムービーのラストを見よ!『断絶』

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Photo by Raivis Razgals on Unsplash
館理人
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カルトムービーと言われるとお宝感を感じます。当時の人気ミュージシャン2人が俳優として主演した映画『断絶』をレビューにてご紹介。

館理人
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ミュージシャンが主演なのに、ふたりの音楽は一切排除。なかなかDVD化ができなかったというレアものです。

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ミュージシャン、ジェームス・テイラーとデニス・ウィルソン(ザ・ビーチ・ボーイズ)が共演

ブルース・スプリングスティーンやリチャード・リンクレーター監督も愛する、カルトムービー。

館理人
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ブルース・スプリングスティーンは今も現役ミュージシャン!

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リチャード・リンクレーターは監督作に『スクール・オブ・ロック』や『6才のボクが大人になるまで。』など。

『6才のボクが大人になるまで。』は、少年が大人になっていく過程を、子役が成長する12年間の間、少しづつ撮影していったという、なんとも気の長い撮影期間の変り種、というか実直というか…の家族映画。

原題の『TWO-LANE BLACKTOP』とは“二車線の舗装道路”という意味。

長年ソフト化が見送られてきた最大の原因は、劇中、車のラジオやカーステから流れてくる音楽の著作権も大きかったとか。

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 呪われた映画、というものがある。この1971年公開の『断絶』もそんな1本として数えられてきた。

 主演はジェームス・テイラーとデニス・ウィルソン(ビーチ・ボーイズ!)。

 当時人気のミュージシャンだ。彼らはレース用に改造した1955年型シボレーを運転する。

 対するのは名優ウォーレン・オーツの乗るポンティアックGTO。

館理人
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ウォーレン・オーツ主演作に『ガルシアの首』など。

サム・ペキンパー監督による、賞金稼ぎたちを描くアクション映画です。

 両者の間を行き交うヒロインはローリー・バード(モデル出身で写真家でもあり、後にアート・ガーファンクルの恋人に)。

館理人
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アート・ガーファンクルは、あのサイモン&ガーファンクルの!

 要は互いの車を賭けてワシントンまで競いあう、いわゆるアメリカン・ニューシネマ的ロードムービーだが、反逆のアンチヒーローにも負け犬の美学にも背を向けた、徹底してアメリカの迷走感を押し出した映画であった。

 監督はモンテ・ヘルマン。1960年代にジャック・ニコルソンと風変わりな西部劇を作り、1990年代にはタランティーノの『レザボア・ドッグス』の製作総指揮にクレジットされたことで知られる鬼才。

館理人
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風変わりな西部劇は『銃撃』!

 だが大手ユニバーサルの重役は完成試写を観て激怒し、宣伝に力を入れず、公開時はあえなく興行的失敗に終わった。

 それから36年。ついに初ソフト化されたわけだが、関係者たちはどうなったか?

  バード嬢は1979年に自殺。オーツ親父は1982年に心臓発作で急死。デニスは1983年に海で溺死。ジェームズ・テイラーは何とか今も現役だが、ヘルマン監督の新作は……ない。

館理人
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新作、その後でました!『果てなき路』(2010年)。女優に翻弄される映画監督を描いてます。

 しかし、“呪われた映画”という肩書きが、ある種の神話となり、本作は生命力豊かに甦ってきた。鮮烈ともヤケクソとも言える伝説的ラスト。それを見逃す手はないと思う。

轟

週刊SPA!2007年4月17日号掲載記事を改訂!