

ということで復刻レビューにて『濡れた唇』のご紹介を!

こちらのレビュー、なぜか独り語り風でしたので、雰囲気に合うよう、架空の話し手を用意いたしました。

ささ、ロマニストAさん、どうぞお話ください!

ども。
データ
1972年
監督:神代辰巳
出演:絵沢萠子、嵯峨正子、相川圭子、谷本一、足立義夫、粟津號、牧恵子、木夏衛、露木護、影山英俊、高山千草、木島一郎 脚本:こうやまきよみ(=山口清一郎+神代辰巳)
お蔵入りギリ回避の神代監督「第2のデビュー作」
(轟夕起夫)

これって、神代辰巳監督の日活ロマンポルノ、記念すべき1本目なんだよね。

語りが始まったていです、おつきあいを!


厳しいものですね

その不遇時代に書きあげていたシナリオが『濡れた唇』で、当初は『痴漢ブルース』というタイトルだったんだな。脚本クレジットは、こうやまきよみ。山口清一郎と神代監督との合同ペンネーム。漢字に直せば、神山清巳。


この摘発の翌日からの公開にラインナップされていたのが『濡れた唇』。再審査の末、何とか公開されたんだ。

お蔵入りの危機だったんですね。

第2のデビュー作でまた不遇をかこつかもしれなかったんだな。『濡れた唇』は、その後の神代映画の基本的な形がある、と自身認めているよね。

大切な1本なんですね。無事公開となってよかったです。

主演は絵沢萌子。彼女は俳優小劇場出身でロマンポルノ初出演、撮影は『かぶりつき人生』以来名コンビの姫田真左久。

撮影中、彼女は震えながら演技をしてたらしいよ。やっぱり一大決心、裸で演技をすることは大変なことだったんだ。
撮ってるほうもドキドキして震えながらだったらしい。女優の裸を直視できず、斜めから見る感じでやってたって神代監督は述懐してる。

谷本一演じる主人公が、恋人にセックスさせてもらえず、帰りしな「屈辱を受けました腹でも切りますか」って軽〜くつぶやくセリフが印象的でさ。

いいですね。

『恋人たちは濡れた』(1973年)でも主人公は、
「追われているといえば追われているんですけどね、このざまは涙ぐましく」とつぶやく。ダメ男には染みるなあ……。

『恋人たちは濡れた』も神代辰巳監督作、絵沢萠子が出演しています。

ま、『濡れた唇』も、いまとなってはいいタイトルかもね。

『痴漢ブルース』よりいいです、かなり!


そういえば『恋の狩人 ラブ・ハンター』、女性限定のロマンポルノ特集上映でかかってたことがあった。男限定の「こうやまきよみ脚本特集」、どこかの劇場でやってくんねえかなぁ〜
(轟夕起夫)

…という独り語り風レビューでした!

ビデオボーイ2002年4月号掲載記事を改訂!


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