ドイツ映画のご紹介!
『ピエロがお前を嘲笑う』(2014年)の監督バラン・ボー・オダーはハリウッドデビューもしました!
レビューをどうぞ!
無数のトリックや、“後出しジャンケン”すれすれの大どんでん返し
【概要】
ドイツ・アカデミー賞にて6部門にノミネートされたサイバースリラー。原題は『WHO AM I – NO SYSTEM IS SAFE』。
2011年に米バラエティの「世界で注目すべき監督10人」に選出された監督バラン・ボー・オダーは、昨年、ジェイミー・フォックス主演の『スリープレス・ナイト』でハリウッドデビューを飾っている。
【レビュー】
物事には“賞味期限”というものがある。市場を賑わせ、いっとき話題を集めた映画もまたそうで、弩級の傑作か、よっぽどの珍作でもない限り、旬を過ぎるとあっという間に忘れ去られてしまう。
とにかく今は、何でもかんでも、消費されるスピードが早いのだ。
が、そんな状況のなかで、このドイツ映画『ピエロがお前を嘲笑う』は珍しい経路を辿っていて、日本で初公開されたのは2015年、翌2016年にはレンタルショップに一度並んだのだが、なぜかBD化は2018年だった。
端的に言えば、非モテ青年の成長譚であり、観る者を欺く「どんでん返し」ムービーだ。
映画は出頭した主人公の、捜査官への告白から始まる。ハッカー集団に加担した青年は、盗んだ情報によって殺人事件に巻き込まれ、しかも自分の命も狙われているらしい……。
公開が2015年のハッカーものとはいえ、描写も内容もまったく色褪せてはいない。ネットの裏世界でのやり取りを、薄暗い地下鉄車内での取引に擬人化した手法は大胆かつビビッドで、全編に流れるエレクトロ・サウンドも効果的。
取り調べ室で主人公が捜査官に見せる「角砂糖を使った手品シーン」がキーポイントで、映画も騙す気満々、「さあ、見破れるか?」と観る者を挑発するのであった。
ところで本作は、すでにハリウッドリメイクが決定しているものの、まだ完成した気配はない。では、BD化はなぜ今だったのか? ハッカー集団はピエロの仮面をつけ、「Clowns Laughing At You」(ピエロがお前を嘲笑う。略してCLAY)と名乗る。
もしやこれ、殺人ピエロがフィーチャーされたホラー『IT/イット “それ”が見えたら、終わり。』の大ヒットに便乗したのかも(違ってたらゴメンなさい!)。
とまれ、無数のトリックや、“後出しジャンケン”すれすれの大どんでん返しを未体験の方、「一見の価値はあり」ですぞ〜。
週刊SPA!2018年7月3日号掲載記事を改訂!