『0.5ミリ』おしかけヘルパー…こんなユニークなキャラ、今までの日本映画では描かれてこなかった!

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館理人
館理人

安藤サクラの主演映画のご紹介!

Photo by Dan Gold on Unsplash
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安藤サクラ扮するおしかけヘルパーに誰もが「首ったけ」

【概要】

安藤サクラは(『百円の恋』と合わせて)各映画賞の主演女優賞を軒並み獲得。

報知映画賞では作品賞、助演男優賞(津川雅彦)に輝き、おおさかシネマフェスティバルでは“アホの坂田”こと、坂田利夫が助演男優賞に!

エグゼクティブプロデューサーは実父の奥田瑛二、フードスタイリストは実母の安藤和津が務め、サクラの義理の父母、柄本明、角替和枝も出演。

【レビュー】

 この映画、観終わった途端に続編を作ってほしくなり、もっと言えばシリーズ化を希望したくなるだろう。

 安藤サクラが演じるタフネスなヒロイン、おしかけヘルパーの「山岸サワ」ものとして。

 それぐらいキャラクターが魅力的! 奇抜というかこんなユニークなキャラ、今までの日本映画では描かれてこなかった。さしあたり本作は、『0.5ミリ さすらいの山岸サワ誕生篇』といったところか。

 隙のある老人たちに次々と声をかけ、素早く相手の弱みを握ってふところへと入りこみ、炊事洗濯、身のまわりの世話をして半ば強引に同居してしまう風来坊。

 ゆえに“おしかけヘルパー”なのだが、目をつけられた老人(井上竜夫、坂田利夫、津川雅彦)はみんな、はじめは迷惑がっていたのにだんだんとサワに好意を抱くようになる。

 なぜならやり手ではあるが、気だてがいいから。

 で、結果、映画を観ている側もいつの間にかサワを……安藤サクラを、好きになっているというわけだ。

 監督・脚本は安藤桃子。実姉である。映画用のシノプシスを書こうとしたら筆が止まらず長大になり、まず小説版『0.5ミリ』を発表。

 そのときから妹にアテ書きで主人公「山岸サワ」の造形をし、いざ映画化にあたっては「誰も見たことのない安藤サクラを撮ろう」と意気込んで撮影に。

 事実、ここに映っているのは“個性派”にとどまらぬ、いかなる物語展開であってもドンと真ん中で支えてみせる王道女優の勇姿だ。

 出会った人々の足もとを(少しだけ)明るくして去ってゆくサワ。

 劇中には彼女が“おしかけヘルパー”にならざるを得なかったシリアスな事件も織りこまれている。

 そいつと向き合うところがヤマであるが、まあ、残念ながら、続編もシリーズ化も実現はしないだろう。一本限り。

 だがこれは、終幕後にまた物語が始まる映画で、各自が勝手に想像する余白が用意されているのであった。山岸サワよ、フォーエバー!

轟

週刊SPA!2015年5月26日号掲載記事を改訂!