ルパン三世的?レッドフォードの俳優引退映画『さらば愛しきアウトロー』から、名優ロバート・レッドフォードとは?をざっくり知る!

スポンサーリンク
館理人
館理人

ロバート・レッドフォードは数多くの面白い映画に出演しています。

館理人
館理人

さすが、動画配信で鑑賞できるものが多いのですが、ここでは引退映画をご紹介!レッドフォードがどんな映画人かが、「ざっくり」わかります!

館理人
館理人

デヴィッド・ローリー監督作、『さらば愛しきアウトロー』で、ロバート・レッドフォードは実在の強盗犯を演じています。レビューをどうぞ!

スポンサーリンク

本作には『逃亡地帯』『明日に向って撃て!』『ホット・ロック』『スティング』『華麗なるギャツビー』『出逢い』……などの出演してきた名画のエッセンスが溢れている

Photo by Alexander Schimmeck on Unsplash

ハリウッドを代表する名優ロバート・レッドフォードの引退作。16回の脱獄と銀行強盗を繰り返し、誰ひとり傷つけなかった74歳の紳士フォレスト・タッカーのほぼ真実の物語。

   ・   ・   ・

 俳優が、そのキャリアを締め括るべく、「最後に演じたい役柄」と出会う──これを映画で成立させてしまう人は、なかなかいないのではないか?

 そういう意味ではこのお方、(2019年現在)82歳のロバート・レッドフォードはやはり、特別な男なのである。自ら製作に関わり、60年近い豊かな役者人生に美しいピリオドを打つ『さらば愛しきアウトロー』のような「引退映画」を用意できてしまうのだから(ちなみに、監督業は続行すると表明!)。

 というわけで、レッドフォードが吟味を重ねた上で選んだ役柄、それは実在の、数々の伝説で彩られたアウトロー、フォレスト・タッカーであった。

 1920年、フロリダ州生まれ。15歳で盗みに手を染めるとやがて銀行強盗のエキスパートに。たとえ捕まっても逃亡を繰り返し、18回も脱獄に成功しているツワモノだ。しかも銃は持っていても一度も撃ったことがなく、被害者の口からは「物腰が柔らかい」だの「紳士的」といった評判が。

 映画で描かれるのは晩年、主に1981年のタッカーの姿だが、粋で、しかし反骨心に満ちたその生き方がレッドフォードの映画人生と重なってくるのが楽しい。

 すなわち本作には、『逃亡地帯』『明日に向って撃て!』『ホット・ロック』『スティング』『華麗なるギャツビー』『出逢い』……などの名画のエッセンスが溢れているのだ。

館理人
館理人

ロバート・レッドフォードは、『逃亡地帯』(1966年)では、町をざわめかす脱獄囚を演じています。

館理人
館理人

『明日に向って撃て!』(1969年)ではポール・ニューマンと共演。アメリカン・ニューシネマと括られる映画のひとつで、実在の強盗犯の逃亡が描かれます。

館理人
館理人

『ホット・ロック』(1971年)は高価な宝石を盗み出した窃盗団をコミカルに描くアクション映画。

館理人
館理人

『スティング』(1973年)では、『明日に向って撃て!』で共演したポール・ニューマンと再共演。詐欺師の大勝負を痛快に描き、大ヒットしました。

館理人
館理人

『華麗なるギャツビー』(1974年)では、ある女性に思いを寄せ続けた男のドラマ。ミア・ファローとの共演です。

F・スコット・フィッツジェラルドの小説「グレート・ギャツビー」の映画化で、レオナルド・ディカプリオ主演版『華麗なるギャツビー』(2013年)もあります。

館理人
館理人

『出逢い』(1979年)は元ロデオチャンピオンのタレントに。女性記者役にジェーン・フォンダ。

 自由を希求する存在としてのアウトロー。タッカーにはアドレナリン・ジャンキーな面も見られるが、人生という「ゲーム」に身を投じ、障壁を突破することに充足を感じているよう。

 そういうキャラクターが“さま”になるのは、レッドフォード本人の資質もある。

 若き頃、大学中退後に画家を目指してヨーロッパを放浪し、ハリウッドスターになってからも(『大統領の陰謀』の撮影後)、モンタナ州とカナダの国境付近からメキシコへと続く無法(ならず)者街道=アウトロー・トレイル)を馬で旅し、フロンティア時代の格闘の痕跡を辿ったその記録は「アウトローの道を行く」という重厚なフォトエッセイに纏められている。

館理人
館理人

『大統領の陰謀』(1976年)ではダスティン・ホフマンと共演。ウォーター事件を追う新聞記者を演じます。

 政治的にはリベラルで、役者のみならず監督、プロデューサーとしても活躍。また非ハリウッド、インディペンデントの映画作家たちを育成する「サンダンス・インスティテュート」を設立したことも名高く、今回監督を手掛けたデヴィッド・ローリーもサンダンス出身なのだ。

館理人
館理人

デヴィッド・ローリー監督作はほかに『A GHOST STORY ア・ゴースト・ストーリー』などがあります。

 共演者は追う刑事にケイシー・アフレック、タッカーの強盗仲間にダニー・グローヴァー、トム・ウェイツが配され、恋人役にはシシー・スペイセクと、申し分ないキャスティング!

館理人
館理人

ケイシー・アフレックは、兄の死で故郷に戻った男のドラマ『マンチェスター・バイ・ザーシー』(2016年)でアカデミー賞主演男優賞を受賞しています。

館理人
館理人

ダニー・グローヴァーの大ブレイク作といえば、バディ刑事シリーズ『リーサル・ウェポン』!

館理人
館理人

トム・ウェイツは役者もやるミュージシャン!

映画初主演はジム・ジャームッシュ監督作『ダウン・バイ・ロー』。音楽でも参加しています。

館理人
館理人

シシ・スペイセクはアカデミー賞主演女優賞に6度ノミネートされている大女優。『歌え!ロレッタ愛のために』で同主演女優賞を受賞しました。

 ところで、タイトルの原題はヘミングウェイの「老人と海」(The Old Man and the Sea)をもじった「The Old Man & the Gun」である。

 もしかして邦題を付けた人は、宮崎駿が「照樹務」名義で脚本・演出を担当、TVアニメ版第2シリーズの『ルパン三世』最終回を飾った「さらば愛しきルパンよ」を意識したのではなかろうか。

 つまりレッドフォードが体現したフォレスト・タッカーは、かのルパンのごとき魅力を湛えているのであった。

轟

ケトル2019年6月発売号掲載記事を改訂!