ジャパニーズホラーのアベンジャーズ! レビューをどうぞ。
凄腕の興行師・白石晃士監督の手腕炸裂エンタメホラー
『戦慄怪奇ファイル コワすぎ!』シリーズで人気の監督、白石晃士の“押し出しの強い”演出が楽しい体感ホラー。
『戦慄怪奇ファイル コワすぎ!』シリーズは、投稿者から送られてきた映像を元に撮影クルーが検証する体裁のフェイクドキュメンタリー。
ヒロイン2人の絶叫クイーンぶりもいいが、「呪いのビデオ」をネット上にアップしてしまう女子大生の友人(佐津川愛美)、貞子マニアの大学教授(甲本雅裕)など、強烈キャラが映画を動かす。
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ずばり、『貞子vs伽椰子』なんである。
中身はこの、“特殊なイベント感”を煽るタイトルのとおりだ。これ以上、何を説明する必要があろうか!
……と書きつつも、「ひょっとして皆さん、ギャグ映画と思ってませんかな? いやいや、違いまっせ」と添えておく。取り急ぎ、念のために。
日本映画史上に残るホラーアイコン、海外にも名が通っている『リング』の貞子、『呪怨』の伽椰子。
Jホラーを代表する最恐キャラが激突し、相まみえるわけだが、一歩間違えれば壮大な失敗作になりかねない企画だ。
そこをうまく“操縦”して、どちらのファンもニコニコさせ、しかも、初めて観る人も置いてきぼりにはしない「間口の広いエンタメ作品」に仕上がっている。
ヒロインは、都市伝説の「呪いのビデオ」を手にした女子大生(山本美月)と、「呪いの家」に足を踏み入れてしまった女子高生(玉城ティナ)。
別々に窮地に陥った2人を結びつけるのは、盲目の少女とコンビを組むスーパー霊能者(安藤政信)である。
彼は「バケモノにはバケモノをぶつけんだよ!」という、ムチャクチャだけども映画を面白くする素晴らしいアイデアを実行に移すのだ。
まるで我々の欲望に応える“凄腕の興行師”のように。
だが、どうやって? ここが頓知の効かせどころ。
そもそも貞子は、自らの怨念をビデオテープに念写し、観た者を呪い殺してきた。で、今回本作ではリサイクルショップで売られていたVHSデッキの中にそれが!
めぐりめぐって女子大生の手に渡った「呪いのビデオ」を、なんとスーパー霊能者は「呪いの家」で再生しろと言うのだ。
さて、ご紹介が遅くなったが、真の“凄腕の興行師”とは監督の白石晃士のことである。
作品全体を彩るアトラクション感覚は監督曰く、「ラーメン二郎」のトッピング全部乗せ、メガ盛り的な姿勢で挑んで、生まれたのだとか。
映画のジロリアン、ここに現る!
週刊SPA!2016年12月6日発売号掲載記事を改訂!
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