ケヴィン・ベーコンが出演している映画、面白いのがけっこう多いです!
馬鹿馬鹿しいのから、シリアスなものまで様々な役柄をやってのける役者さん。
その中からこれぞB級!な一本をレビューにてご紹介です。
無邪気な悪ガキを追いかけるケツに火の付いた小悪党ベーコンが見もの!
アメリカの田舎町にて少年たちと邪悪な保安官とが繰り広げるクライム・サスペンス。
ホラーの帝王イーライ・ロスに認められて、一躍注目された監督ジョン・ワッツはこれが長編第2作。デビュー作の『クラウン』でもやはり、子供の描写にも容赦がなかった。
本作の主演ケヴィン・ベーコンは製作総指揮も務めており、もう全編ノリノリです!
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単刀直入に『COP CAR/コップ・カー』と名付けられたこの映画は、内容のほうも実にシンプルだ。
2人の家出少年が野原で、無人のパトカーを発見する。ドアが開いていて、悪ガキどもは「ヤッホー!」と車に乗り込み、キーまで発見して出発進行。
運転なんてマリオカートしか経験のない2人だったが、あたりには誰も居ず、我が物顔で乗り回す。では、元の持ち主は?
ケヴィン・ベーコンなんである。いや、ベーコン扮する悪徳保安官。
きっと仲間割れでもしたのだろう、殺っちまった男を隠すため、車をしばし放置していたのだ。
しかし“悪徳”といっても迂闊でドジ。戻ってみたら「俺のパトカーがない!!」。
焦りまくって必死こいて探すベーコンが、真剣だけどもメチャクチャ可笑しくて最高。
ここには人気海外ドラマ『ザ・フォロイング』で、凶悪なシリアルキラーと対決していた渋カッコいい元FBI捜査官の彼はいない(←もちろん、褒め言葉)。
『ザ・フォロイング』は、シーズン3まであります!
無邪気な悪ガキに、彼らを追いかけるケツに火の付いた小悪党ベーコン。それだけで映画は面白くなるのか?
答えはYES。
『スパーダーマン』シリーズでは『スパイダーマン:ホームカミング』(2017年)、『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』(2019年)を監督する新鋭ジョン・ワッツの演出、すなわち緊張と弛緩のバランスが抜群なのだ。
しかも車内に残されていた弾の入った銃、トランクの中には「ある人物」が放り込まれていて……と、基本設定に小道具と登場人物を徐々に足していき、たわいもない子供のイタズラが悪夢に飲み込まれていくさまを、手練手管でハンドリングしてゆくのであった。
おまけに、90分以内にコンパクトに仕上げており、なのに具だくさん。
そういえばケヴィン・ベーコンには売り出し中の時期に主演した、巨大な地底生物と闘う『トレマーズ』(1990年)という快作がありまして。
あの『トレマーズ』のような、「具の詰まったB級ムービー」が好きな人ならば、絶対に本作は気に入ってもらえると思う。
週刊SPA!2016年8月2日号掲載記事を改訂!